佐賀には帰化選手がいるわけではない。187cmのガルシアを起用することで、ファウルトラブルなどによってはインサイドが手薄になり得る。だが、トーレスヘッドコーチは「インサイドのウィークポイントも組織としてのチームディフェンスで補っている。レイナルドが外を守ることによって、ゲーム中は多くのことを解決してくれるメリットの方が大きい」と述べ、数多ある攻守のバリエーションを駆使しながら勝利を重ねている。取材したアースフレンズ東京Z戦では、トーレスヘッドコーチが様々な修正点を情熱的に指示し、試合中に成長する選手たちの姿が見られた。
ガルシアを迎えたことは、「アウトサイドの日本人選手たちが世界基準になるためのひとつの機会になる」と保田尭之アシスタントコーチは考える。
「今、レイナルドのことを一人では守り切れていない場合の方が多いです。それに対し、彼を守るためにどんな成長をすべきかを考える必要があります。例えば、体格的に引けを取らない選手をコンバートさせたり、フィジカルを強化したり、課題を見つけるきっかけになると思っています。それがクリアできれば、また新しいタイプの外国籍選手が必要になってくるような状況が生まれます。レイナルドのようなアウトサイドの選手がいることで、将来的に日本代表やBリーグの向上に大きな成果が出てくるはずです」
次節の香川戦は「プレーオフのファーストラウンド」
実績あるトーレスヘッドコーチの下で、「多くのことを学んでいる」とガルシアは話す。「特にヨーロピアンスタイルのバスケを、トーレスヘッドコーチを通して学ぶことができている。ヨーロッパでプレーした経験はないが、ディフェンスでもオフェンスでも多くのことを吸収できている」と続け、ガルシアは成長につなげている。
現在西地区3位の佐賀は、B2プレーオフ圏内をキープする。1月11日、オフィシャルサイトにおいて「緊急B1昇格宣言」と題し、その本気度を訴えた。まだ、来シーズンに関するクラブライセンスについての発表はない。だが、クラブとしての自信の現れでもある。現場で戦うチームとしては、勝たねばならない。すぐさまやって来る3月24日、今シーズンラストとなる香川ファイブアローズ戦を「プレーオフのファーストラウンドだと捉えている」とトーレスヘッドコーチは考え、最初の山場を迎える。
「4位の香川とはプレーオフ圏内を争っており、なんとか今は5勝差を維持できている。この試合に勝てば6ゲーム差をつけることができ、プレーオフ進出が大きく近づく。昨シーズンのB3では外国籍選手が揃わないことも多かったが、今はマルコスも復帰し、どのチームとも戦える自信がある。何より、選手たちの成長に手応えを感じている」
上位にいる1位の西宮ストークスと2位のファイティングイーグルス名古屋との直接対決は、それぞれあと2試合。首位との5ゲーム差をひっくり返し、順位を入れ替えるチャンスもまだまだ残っている。
文・写真 泉誠一