「ポゼッションを増やせば増やすほど、富山の点数が増える」伊佐勉ヘッドコーチ
1ゲーム差でひしめき合う4位の富山グラウジーズと6位のサンロッカーズ渋谷が対戦。試合序盤から、どちらも譲らぬ点の獲り合いとなる。第1クォーターを終え、22-19とSR渋谷がリードするが、ハイスコアゲームは富山のペースとも思えた。第2クォーター中盤、伊佐勉ヘッドコーチはペースダウンするよう指示を出す。「ポゼッションを増やせば増やすほど、富山の点数が増える」ことを警戒し、ベンドラメ礼生にゲームをコントロールさせる。制限時間いっぱいを使って、ボールを展開しながらノーマークを作っていく。ショットクロック残り1秒で関野剛平、ベンドラメが連続3ポイントシュートを決め、50-38とリードを開いたSR渋谷がペースを握った。
前回対戦時(11月11日/SR渋谷106-97富山)、54.5%の高確率で3ポイントシュートを決められ、そこを警戒して富山は試合に臨んでいた。しかし、「前半はイージーな3ポイントシュートを打たれ、ワイドオープンになってしまうケースが多かった」と浜口炎ヘッドコーチは述べ、第2クォーターは80%(4/5本)の3ポイントシュートを許す苦しい展開となる。最大22点差をつけたSR渋谷が92-81で勝利し、26勝17敗で富山に並んだ。直接対決を2連勝したSR渋谷が、チャンピオンシップ圏内(※ワイルドカード)となる4位に浮上した。
青山学院記念館での初凱旋試合に臨んだ新人王
「会場に入ったときから懐かしいと思った」というのは昨シーズンの新人王であり、青山学院大学出身の前田悟である。特別指定選手から数えて3年目を迎えるが、これまでの2シーズンはSR渋谷との対戦さえなかった。今回、プロになってはじめて青山学院記念館のコートに帰ってきた。その感想を聞けば、「あまりいい思い出もないんで…」とそっけない。SR渋谷が創設20周年を記念し、OBを招いてトークショーを行った3月8日、青山学院大学出身の大屋秀作氏も苦笑いしながら前田と全く同じ感想を語っていた。学生時代の苦しい経験が努力の裏付けとなり、今がある。
初の凱旋試合も、前田にとってはいい思い出にできなかった。「前回対戦時に3ポイントシュートでやられていたのでまずはそこを抑え、タフなジャンパーを打たせるようヘッドコーチから指示が出ていました。しかし、そこを遂行できず、確率良くノーマークで決められてしまったのが1番の敗因です」とディフェンスの課題が浮き彫りとなる。SR渋谷戦を迎える前までは平均10点と二桁に乗せていた前田だが、この試合は2点に終わっている。SR渋谷の石井講祐の執拗なマークに苦戦したかと問えば、「そういうイメージはない」という前田がさらなる敗因を挙げた。
「ボールをみんなでシェアして人もボールも動けば、黙っていても点数を獲れるチームです。今日みたいに人が孤立し、ボールも止まってしまえば、相手のディフェンスも守りやすくなってしまう。早い段階でアジャストできなかったのが反省点です」