「100点も簡単に取れてしまう」オフェンス力
B2の試合を見ると、オフェンシブなゲームが多いように感じた。B1の平均得点トップは富山グラウジーズの88.8点だが、B2トップの群馬クレインサンダーズは91.6点で上回っている。同じくB1のトップ3が84点台までにおさまる中、B2でそれ以上の平均得点を挙げているのは倍の6チームもあった。B2西地区8位の愛媛オレンジバイキングスでも平均82.5点を挙げており、B2はオフェンシブなチームが多い。
東地区2位の茨城ロボッツは佐賀バルーナーズと対戦し、初戦は101-93のハイスコアゲームで勝利を挙げた。現在までの41試合中、両チームがともに80点以上を挙げた試合は16回。ワンサイドゲームになれば、自ずと互いに得点が伸びるのは理解できる。しかし茨城の場合、その中でも一桁点差内のクロスゲームが11回もあった。茨城の平均88点は、群馬に次ぐ2番目の多さだ。
2017-18シーズン、B2の3ポイントシュート王(44.5%)になり、その後もトップ3に君臨する福澤晃平(現在5位/39.7%)は、「前節(青森ワッツ戦)もそうだが、3ポイントシュートが入らなくても80点や90点を取れる得点力が今はあります。それにプラスして、3ポイントの確率がもう少し上がれば100点も簡単に取れてしまうと思っています。でも、3ポイントが入らなくても得点を獲れるのが、今の茨城の強みです」とオフェンスに自信を持っている。
佐賀との初戦で5本の3ポイントシュートを決めた福澤は、21点を挙げて勝利に貢献。2戦目は序盤からペイントエリアに進撃し、2連続シュートを決めて主導権を握った。「今日は運良く空いた……というと、まぐれみたいに聞こえてしまいますが…」という福澤にそのプレーを振り返ってもらおう。
「僕はハンドオフやピック&ロールを使ってプレーすることが多いです。ビッグマンがしっかりスクリーンをかけてくれるので、そのときにマークマンがどう動いてくるかを見て、しっかりとプレーしたら空いたことで、そこを突くことができました」
佐賀のゾーンディフェンスに攻めあぐんでいた時間帯には、2本の3ポイントシュートを決めてみせた。「空いたら打つことが仕事なので。外れても味方がリバウンドを取ってくれるので、リズム良く空いたら打つことを心がけており、それが入ってくれました」という福澤は、平均9.3点を挙げて茨城のオフェンスを支えている。
「シュートだけでは選手としては全然魅力が足りていない」
「もちろんオフェンスもディフェンスもどちらも大事」というのはリチャード・グレスマンヘッドコーチだ。試合の傾向やスタッツからオフェンシブなチームづくりをしているかと思いきや、「タレントある選手を抱えている中で、オフェンスだけやれば良いというだけでは自分がコーチをしている意味はない」と断言する。しかし、現状を見れば、「オフェンスの方がディフェンスよりもはるかに出来は良い状況ではある」と認めてもいた。
2戦目は佐賀を59点に抑え、74-59で勝利した。「ベストなオフェンスができない中でも、しっかり勝って2連勝できたのはポジティブなことだと捉えている」とディフェンスで上回ったこの日は、グレスマンヘッドコーチも上機嫌だった。試合数が減ってくるシーズン終盤や今後のプレーオフを見据えれば、ディフェンスこそ重要になる。佐賀とのロースコアゲームを勝利したことで、ポジティブなきっかけをもたらせている。