アウェーでの3試合を経て、初めてのホームゲームとなった2月13日の信州ブレイブウォリアーズ戦はベンチ入りならず。それでも大野ヘッドコーチは、「彼が最後までジェッツにいるならば、今日もロスターに入れている」と明言している。現在大学3年生の特別指定選手であり、新学期を迎えれば学業に戻らねばならない。翌日の2戦目にはふたたびベンチ入りすると、A東京戦に続く9点と活躍した。しかし、予期せぬアクシデントに見舞われる。
85-57、千葉が点差を広げていたゲーム終盤、残り5分43秒。大倉は頭の後ろを通すビハインドパスからセバスチャン・サイズの得点を演出した。ゴールに向かって踏み込みながら決めたパスだったが、右足から着地した大倉はそのままコートに倒れ込む。前十字靭帯断裂、内側側副靭帯断裂、半月板損傷という複雑な診断結果により、全治1年の重傷を負った。
昨シーズン、千葉の一員となり「僕が一番成長したと言えるのは責任感。スキルや身体の部分ももちろん成長していますが、コート内外での責任感は千葉ジェッツやチームにいる中で学びました」。その経験により東海大学を日本一へと導き、2年目の千葉でもヘッドコーチから信頼を勝ち取り、さらに選手として大きくなりはじめていた。それだけに今回のケガを見たあと、言葉を失った。
よく言われることだが、神様は乗り越えられる試練しか与えない。そして、何事にも意味があるとは、東海大学の陸川章ヘッドコーチもよく使う言葉だ。今回のケガも、大倉が成長するために必要な時期だったと振り返る日が必ず来る。
今シーズンは前十字靭帯をケガする選手が相次いでいる。本橋菜子(東京羽田ヴィッキーズ)、渡嘉敷来夢(ENEOSサンフラワーズ)、杉本天昇(群馬クレインサンダーズ)、トーマス・ブライアント(ワシントン・ウィザーズ)などなど。いくら注意をし、そうならないための準備をしていても、バスケにおいてケガはつきものである。1日も早い復帰を祈るとともに、パワーアップして元気な姿をふたたび見せてくれる日が待ち遠しい。
文・写真 泉誠一
写真 B.LEAGUE