「相手のディフェンスは非常にフィジカルで、ピック&ロールのところでスイッチを使ったり、プレッシャーをかけて高い位置に押し上げてきたり、こちらのピック&ロールがなかなか機能しなかったことが最後まで響いてしまった。ただ、オープンな状態を作ってシュートは打てていた。でも今日は、ゴールにアタックしていくシーンが少し少なかった。しっかりペイントタッチをして、ボールが動いて最終的にオープンショットを作るのがうちの流れであり、そこが少し足りなかった」
週末連勝したのは3回しかない川崎は次節、西地区首位の三河と対戦
6000点を記録したニック・ファジーカスだったが、「67点で止まってしまっては勝つのは難しい。今日は完敗だった」と潔いコメントを残している。この記録に対しては、これまで通り通過点でしかないことを強調した。
「自分のキャリアが終わったとき、何点まで行ったかという記録を振り返る日を楽しみにしている」
現在2位の千葉だが、まだまだ本調子ではない。「ディフェンスをやらない限りは勝つことはできないと伝えている。彼らももどかしい気持ちで自分たちのバスケを取り戻そうともがいているが、戻りきらない状態が続いている」と大野ヘッドコーチは吐露する。富樫勇樹は「選手を生かすためにやっているプレーに対し、選手自身に意識が足りない。そこは練習からしっかりやっていきたい」とイメージ通りのプレーができていない。その中で勝たなければいけないのがプロであり、「良いときも悪いときもあるが、勝ちを拾っていけるようなチームにしていきたい」と富樫は続け、苦しみながらもピースを合わせて難解なパズルを組み立てていかねばならない。
現在6位の川崎はチャンピオンシップ圏外にいる。ファジーカスは「刻々と試合は消化し、時間もなくなってきている」と現状を把握しており、気づけば最終局面を迎えてしまい兼ねない。今シーズン、週末2連戦をスウィープ(2連勝)したのは13回中たった3回しかない。これまで負けなしできた水曜ゲームも、千葉に敗れてその連勝もストップしてしまった。今週末には西地区首位のシーホース三河をホームに迎える。「2連勝は必須であり、タフな三河戦はすごく重要な試合になる」とファジーカスは気を引き締めていた。
ディフェンスが恋しかった。この試合もフィジカルコンタクトを厭わず、ファウルで倒した選手に手を差し伸ばしてお互いを称え合い、もう一度前に出てぶつかり合うディフェンスが清々しい。海の向こうで応援する某チームはオフェンスしか脳がなく、149-146で劇的な逆転勝利を飾ったが、大味な試合だった。篠山が言うように「ディフェンスのプライドを育てなければ」、どのリーグであっても勝つのは難しい。優勝を目指すためには絶対に欠かせない。オフェンシブなNBAに胃もたれ気味な方は、ディフェンシブに削り合うBリーグがおすすめである。
文 泉誠一
写真 B.LEAGUE