── 来日してもう10年。その間にBリーグが発足するなど日本のバスケット界も変わってきました。ギブスさんは今の日本のバスケット界についてどのような感想をお持ちでしょうか?
私が10年前に日本に来たときと比べたら日本のバスケットはすごく成長していると感じます。日本人選手の能力も年々確実にアップしていますね。私が来日したのはJBLと呼ばれていた時代ですが、当時を振り返ると印象に残っているのは、田臥勇太選手、川村卓也選手、竹内公輔選手、竹内譲次選手ぐらい。でも、この10年ですばらしい選手がどんどん増えています。それは日本のバスケットが成長しているのを表していると言っていいでしょう。
── 対戦して嫌だな、やっかいだなと感じる選手がいたら教えてください。
たくさんいますよ(笑)。中でもチームとして対策が必要だなと感じ、対戦するときに気をつけているのはクイックネスがある千葉ジェッツの富樫勇樹選手。オープンで打たせたら、それはもう自動的に得点されるのと同じと思えるほど高いシュート力を持つ金丸晃輔選手(シーホース三河)です。この2人の守り方はチームとしてしっかり準備しなくてはなりません。また個人的にマッチアップして大変なのはニック・ファジーカス選手(川崎ブレイブサンダース)、ダバンテ・ガードナー選手(シーホース三河)、ジョシュア・スミス選手(富山グラウジーズ)、同じ富山のジュリアン・マブンガ選手も非常にやっかいな存在だと言えます。
── ブレックスのチームメイトであるライアン・ロシター選手もかつては『対戦して嫌な選手』だったのではないですか?
もちろんそうです。彼はバスケットIQがとても高い選手であり、今のブレックスを引っ張る優れたリーダーの1人でもあります。話すのが苦手な私と違って、彼は言葉でもチームを牽引してくれますし、人間性もすばらしい。コートの中でも外でも信頼できる存在です。6、7年前になると思いますが、私たちがお互いまだ対戦相手であったころ、彼から「いつか一緒にやろうぜ」と声をかけてもらい、うれしかったのを覚えています。私にとっても彼はそのころから「一緒にプレーしてみたい」と思う数少ない選手の1人でしたから。
── そのロシター選手を含めたブレックスはギブスさんにとってどんな存在だと言えますか?
ひと言でいえば、ブレックスは私にとって大きな家族のような存在、家族のようなチームです。自分はこのチームに5年いますが、自分より長くここにいる選手もかつての対戦相手として知っていましたし、それは私の後から入ってきた選手にも言えることです。だから練習を通してすぐに気心も知れ、良い関係を築けたと思います。コートの中でも外でもみんなと過ごす時間はとても楽しい。私の本当の家族はアメリカにいますが、日本にはブレックスというすばらしい家族がいます。それはとてもありがたいこと。感謝していることですね。
強くて、謙虚で、温かい人(後編)
『バスケット選手として、人として、子どもたちが誇りに思える父親でいたい。』へ続く
文 松原貴実
写真 B.LEAGUE