ポジションはチームを明るく照らす『太陽』(前編)『ハーレム・グローブトロッターズに誘われる!?』 より続く
一生ダンクし続けるというこだわり
オンラインで行われた今年のオールスターでのダンクコンテストは、コー・フリッピンが優勝に輝いた。日本人ダンカーの先駆けでもある大宮宏正がアドバイスしたのかと問えば、「関わろうと思っていたら、撮影が終わってました」とこちらは残念な結果に終わっている。
専修大学時代、当時の中原雄ヘッドコーチからは「ダンクに行けるときには常に狙っていけ」と言われてきたからこそ、こだわりがある。
「今なお現役を続けられている自信は、まだまだ簡単にダンクができているからです。それができなくなったら終わりだと思っており、一生ダンクし続けるというこだわりがあります」
千葉にはフリッピンをはじめ、赤穂雷太、佐藤卓磨、ラシード・ファラーズ、そして練習生の大倉颯太などダンクができる若手も多い。
「ダンカーとは失敗しても向かうヤツじゃないといけない──これも中原さんの教えなんですけどね。専修大学時代は失敗しても、『もう一回行ってこいや』と言われてきました。強い気持ちでリングに向かっていく選手にしか、ダンクはできません。馬場(雄大)くんみたいなマインドを持って果敢に狙っていくようには伝えています」
大宮は「今シーズンはケガばかりしている」と申し訳なさそうに語っていた。1日も早く全快し、全開のダンクをまた見せて欲しい。
「ブザービーターで、僕のダンクで逆転勝ちをさせることが目標です」
ギラギラした中学生が観に来てくれるためには?
37歳となった大宮だが、すぐ下には竹内公輔(宇都宮ブレックス)・譲次(アルバルク東京)兄弟を代表する黄金世代がおり、脂が乗った活躍を見せている。さらに、「僕の2つ上がすごく元気ですよね」と柏木真介(シーホース三河)や朝山正悟(広島ドラゴンフライズ)ら先輩の名を挙げた。「どこまで行けるか、みんなと一緒に勝負しているつもりでいます」とまだまだ先は長い。
Bリーグの前身となる2つのリーグをどちらも経験しながら15年目を迎える大宮には、今のバスケ界の状況はどう見えているのだろうか。「批判する意味ではない」という前置きをした上で、「Bリーグバブルが起きてしまい、選手がハングリーになる部分を通り越して今の状態になってしまったかもしれません。選手たちも、心の緩みが少し出てきているのかなぁ」と危惧する。その状況を招いたのも、「僕らが選手会を通して話し合ってこなかった責任でもある。まだ、渦の中にいる感じがしています」と続け、当事者である選手自身がより良い環境を求めていかなければならない。大宮自身も昨今は、それについて考える日々だ。