二人のライアンを欠く東地区上位決戦
チームハイの得点源である二人のライアンを互いに欠いた東地区1位宇都宮ブレックス vs 同3位サンロッカーズ渋谷(宇都宮:ライアン・ロシター/平均14.1点 ※右大腿二頭筋筋挫傷、SR渋谷:ライアン・ケリー/平均20.6点 ※左頬骨骨折)。ホームのSR渋谷が77-71で先勝したが、翌日は67-62で宇都宮がやり返し、1勝1敗の痛み分け(※通算3勝1敗で宇都宮が勝ち越し)。SR渋谷と1位宇都宮の差は3ゲームのままだ。
ディフェンスを信条とする両チームであり、相手の長所を削り合う。前半、互いに7本のスティールを記録し、攻め気のディフェンスを見せた。平均9.4本のSR渋谷はスティール部門でリーグ1位。この日は12本を記録した。以前、広瀬健太は「スティールを狙っているわけではなく、結果としてスティールになることはある」と話していたとおり、相手のオフェンスを苦しめた成果が数字として結果に表れている。
初戦でケガをした比江島慎は大事をとって欠場となる中、テーブス海に初先発の座がまわってきた。前日の試合で、後半に自らアタックしたことで活路を見出せた良いイメージがあり、「今日は最初から自分で攻めよう」と決めていた。SR渋谷の堅いディフェンスを素早いドライブで切り開いたテーブス海は14点・4アシストを記録。そのうち10点は前半に挙げた数字である。
「ゲームの入りから海選手がボールプッシュをして、果敢にリングにアタックしてきた。LJ・ピーク選手が入ったときも同じような感じだった」というSR渋谷の伊佐勉ヘッドコーチは、宇都宮の攻撃にアジャストするために後半はゾーンディフェンスを仕掛ける。「何本かやられたが、海選手のスピードを消すことはできたと思う」と対応し、最後まで喰らいついていった。
対する宇都宮は、追いつかれては引き離しながら終始リードを保つ。最終クォーター残り6分28秒、宇都宮は早い時間帯で5つ目のチームファウルを犯し、57-55と2点差で追うSR渋谷にとってはチャンスとなる。しかし、その状態から3分を切るまで宇都宮は、フリースローを与えることなく集中したディフェンスで凌ぐ。「最後はしっかりとチームで決めたディフェンスのルールを全員がやり切ってくれた」と安齋竜三ヘッドコーチは選手たちを称え、SR渋谷に逆転のチャンスを与えなかった。
試合後、SR渋谷の伊佐ヘッドコーチは、「楽しかった。このような感情ははじめて」と感想を述べた。前節、SR渋谷に勝利した川崎ブレイブサンダースの佐藤賢次ヘッドコーチも同じ感情を持っていた。デザインしたとおりのプレーを遂行してくれれば、現時点では結果に関係なく成長を実感することができ、ヘッドコーチとして満足がいくものだろう。「相手に決められたシュートも想定内だった」と伊佐ヘッドコーチも納得している。首位の宇都宮を相手に「勝つチャンスもあったし、戦えている感触もあった」と得られるものも多くあった。安齋ヘッドコーチは「少ない人数の中、選手一人ひとりがステップアップし、最後までディフェンスとリバウンドを我慢できたことでの勝利。自分たちにとって良いゲームができた」と話しており、勝っても負けても納得できる好ゲームとなった。