ズバリ、それでは良くないと釘を刺す。得点力こそが松脇の長所であり、そこで目立たないでどうする!? 富山の熱いブースターの皆さん、甘やかさずに松脇の成長を促していただきたい。今シーズンの目標は新人王獲得を挙げており、それによって5人制でも日本代表の道が拓ける可能性だってある。「そっちに呼ばれたらそっちを優先し、そのときはそのときです(笑)」と今度は欲張った姿勢を見せ、なんともつかめない男だ。だが、一つひとつ実績をつかむことで、先に述べたように「可能性が広がっていく」。そうなれば、学生時代と同じように自ら高い目標を掲げて奮起するはずだ…と信じたい。
学生時代と変わらぬライバル心
中学時代は、八村塁を擁する富山の奥田中学に勝利し、日本一になった。当時を振り返ってもらえば、「僕の方ができていました。中3の時の塁は、デカイなとしか思わなかったです」と松脇はいい、同じような感想は他の選手やコーチからも聞かれる。だが、その後に進んだ明成やU16など世代別代表での国際試合で勝利したことを自信に変え、どんどん変貌していく八村の姿も目の当たりにしてきた。
「明成では1年生のときから試合に出て、高校でメチャクチャ変わっていきましたよね。3年の頃にはスキルもついていたので、すごく成長したと感じました」
今の八村はどう見えているのだろうか? 「本当に、学生時代に同じコートで戦っていた人かと思うほどのレベルになってしまいました。同い年として、NBAまで行けるのはすごいと思っています。でも、できるだけ自分も上に行けるようにしたいです」と、学生時代から変わらぬライバル心も忘れてはいない。
年が明け、富山に来てから1年が経った。その印象は「住みやすいですね!あまり都会が好きではないので、ちょうどいい感じです。海鮮もお肉も美味しいので困ることがないです」と満足げに話す。人も、食も、住み心地も良い富山ではあるが、もう一度ブースターの皆さんにはお願いしておく。コート上ではぬるま湯に浸からせることなく目を光らせ、叱咤激励しながら育てていただきたい。松脇だけではなく、日本代表として世界と戦えるポテンシャルの持ち主が多くいるチームなのだから──
富山グラウジーズ #14 松脇圭志
今シーズンの目標「3年連続で富山の選手が獲れればおもしろいですよね」
前編 https://bbspirits.com/bleague/b21011901/
後編 https://bbspirits.com/bleague/b21012001/
文 泉誠一
写真 B.LEAGUE