「大学時代からあまり得意ではなかった」不安要素
187cm、92kgのシューティングガードは「身体の当たりなどはそこまで差があるとは感じていません」とフィジカル面ではB1でも見劣りしない。得点王の実績があり、試投数さえ増えれば、得点につなげることもできている。しかし、今のB1はディフェンスこそが重要であり、「大学時代からあまり得意ではなかった」という課題点が、不安要素でもあった。昨年はB2、大学時代もインカレ出場経験がなく、強度が上がっているディフェンスを体感できずにきた。ディフェンスの課題点を挙げれば、切りがない。
「ボールマンプレッシャーが全然違います。B2の群馬のときと比べても、身体の当て方が全然違いますし、スペースを取る上手さがあります。タイミングを見て動くこともやっぱり違います。予測や間合いを詰めすぎてしまったり、足を引いてしまって相手にドライブラインを作ってしまったり、うまくいかない場面は多々あります」
チームメイトの満田丈太郎は、「ヘルプの位置やポジションを細かく教えてくれます」と頼もしい存在である。一回り大きいガードのレイヴォンテ・ライスとマッチアップする度に、「止めてやるという熱い気持ちがあります。高い目標を持って練習ができる環境になっています」とプロの強度を日々体感できている。昨シーズンの3ポイントシュート王である松井啓十郎からは、「自信を持って、思い切って打っていけと言ってくれます。試合中も、スペースなどをベンチからも声をかけてくださるのですごく助かっています」と多くのサポートを得ながら、成長できる環境にいることを実感していた。
技術こそまだ足りない部分は多いが、「体力面では自信があります。今はスタートで使ってもらえていますが、出だしからハードにディフェンスをして、流れを持ってくることを任されているんだと思っています」という細川は、13試合目から3試合連続で先発起用されている。
京都へ来た当初の目標は試合に出ることであり、その次に先発の座を勝ち取ることだった。インタビュー時は15試合を終えた時点であり、平均約18分の出場時間を与えられ、先に述べたようにすでに先発で起用されている。「今はそこもクリアできているので、今後はディフェンスの課題を克服すること、オフェンスでは得点を獲ったり、アシストをしたりしてチームの勝利に貢献していきたいです」と新たな目標を定めて突き進む。
切磋琢磨する同期の桜
京都には細川の同期が3人いる。昨シーズン、東海大学在学中ながらプロ契約を果たした寺嶋良について、「すでに副キャプテンを任されています。ベテランに対してもしっかり声をかけるところがすごい」と見習うべき部分は多い。同じくポイントガードの久保田義章については、「強い気持ちを持ってずっとプレーしています。身体を当てに行き、やられたらやり返す強いメンタルの持ち主。一緒にプレーしていても心強いです」。
同じポジションの大庭岳輝に対しては「ライバルだと思っていますし、練習中にマッチアップするときは打たせないことを目標にしています。シュートが上手いので、一緒にシューティングをしていてもすごく入るのでそこはすごいなぁと思って見ています」と切磋琢磨する仲だ。
今シーズンの京都は小川伸也ヘッドコーチが新指揮官となり、選手も大きく入れ替わった。ゼロからのスタートを切っただけに、細川もそこはチャンスだと感じている。勝てない状況は、学生時代に散々味わってきた。
「一番若いので、コート上では動き回り、ハードにアグレッシブにプレーすることを常に意識しています。自分たちルーキーがミスをしても、先輩たちがカバーしてくれるとも思っているので、思い切ってやるだけです」
文 泉誠一
写真 B.LEAGUE
画像 バスケットボールスピリッツ