これから戦力が増えて行くことをポジティブに捉え、みんなでハードワークしていくだけ
翌日の第2戦、自滅したオフェンスのミスやタフショットは軽減し、昨シーズンとは異なる意識の高いディフェンスにより、チャンピオンを苦しめる。残り時間1分を切るまで、65-68と1ゴール差で横浜は粘っていた。最後はカークに決められ、ストックマン・ジュニアのドライブは竹内譲次のブロックに阻止され、65-72でA東京に対する初勝利は叶わなかった。これまでBリーグで12試合を戦ってきたが、一度も横浜は勝てていない。そのほとんどが20点差以上で敗れており、83-90だった2017年1月22日以来の一桁点差は健闘したと言える。だが、当たり前ではあるが、プロは勝たねばならない。
ミリングヘッドコーチはディフェンスに重きを置き、改革に取り組んでいる。
「他のチームに比べれば才能ある選手は少ないかもしれないが、その分泥臭いプレーで競っていけば良い。ディフェンスは才能がなくても、誰でもがんばることができる。チーム一丸となり、選手一人ひとりがそれぞれの役割を果たしながら勝利に貢献することを目指している」
本来は7月末には来日しているはずだったが、新型コロナウィルスの影響により開幕には間に合わなかった。新外国籍選手も揃わず、ケガ人もいる状況だが、「これから戦力が増えて行くことをポジティブに捉え、みんなでハードワークをしていくだけだ」と先を見据える。アキ・チェンバースも「全てが新しく、1からのスタート」と話しており、ケミストリーを高めることに注力している。
チェコ代表のパトリック・アウダが週明けから合流し、来週には生原秀将がケガから復帰、ロバート・カーターの自主隔離が明ければようやく戦力が揃う予定である。ミリングヘッドコーチは「4〜5週後には完全な状態で戦える。そうなればチームが変わることは分かっている」と自信を持っており、今が踏ん張り時であることを強調した。
勝ち切れなかった原因のひとつに、コート内のリーダーが見当たらない。選手それぞれは黙々とプレーし、チームのために戦っている姿勢は伝わってくる。だが、ピンチや流れをつかんだときに引っ張って行くコート内のリーダーが必要だ。それを担うであろう生原の復帰が待たれるが、リーダーやエースは多ければ多い方ほどチームは強くなる。
荒波の航海を続けて来た横浜ビー・コルセアーズは創設10周年を迎えた。bjリーグ参入2年目の2012-13シーズンに優勝を経験している。しかし、Bリーグになってからは毎年のように残留プレーオフにまわり、首の皮1枚でB1での戦いを保てている状況だ。長く続く霧の中を抜け出すためにも、ミリング新船長の手腕が試される。
文 泉誠一
写真 B.LEAGUE