地に足を着け、自らと向き合いながら踏み出したプロの世界
迎えた2020年最初のゲームとなったアルバルク東京戦では、第3クォーターにタフショットをブザービーターでねじ込み勢いづける。「オフェンスももちろん良かったが、ディフェンスでしっかり働いてくれた」と大野篤史ヘッドコーチは評価する。第4クォーター立ち上がり、フリッピンらベンチメンバーが主体となる中、7-0のランでアルバルク東京のオフェンスをシャットアウトし、66-52とリードを開いて行った。12点、3スティールを記録したフリッピンの活躍も光り、73-65でニューイヤーゲームを勝利で飾る。続く2戦目も10点を挙げ、A東京に連勝した。
「チームメイトがたくさん励ましてくれるおかげで、自信を持ってプレーすることができています。いいディフェンスをしていれば、逆にいいオフェンスはついてくるので、まずはディフェンスに集中して試合に臨みました。自分が活躍できたのもローテーションの一部として機能したからであり、今日の勝利も長いシーズンの数あるゲームのひとつでしかないです。それほど大きな勝利とは思っていません」
23歳のフリッピンは浮き足立つことなく、地に足を着けてプロとしての第一歩を踏み出している。オリンピックイヤーであることに対しても、「今は代表になりたいと思ってプレーしているわけではなく、毎試合チームとして勝ちたいと思っているだけです。その中で成長しながら良いパフォーマンスを見せることで、もしチャンスが出てくればそれはもちろん受けたいです。まずは1試合1試合が大事だと思って戦っています」としっかり自分とも向き合っていた。
特別指定選手の大倉颯太や練習生としてラシード・ファラーズが加入し、「若くてもそれぞれスキルを持っているからこそ、このチームに来ているわけです。そういう選手がチームにいることはうれしいですし、刺激を受けることもたくさんあります」というフリッピンとともに、新たな世代の選手たちが千葉に新風を吹かせている。
2年前、同じく駒沢体育館で行われた年末年始の同カードでは千葉が2連敗した。しかし、その後の天皇杯で2連覇を達成する。逆に、予選ラウンドで敗れていたA東京がリーグ制覇をした。今年はA東京が2連敗しており、もしかすると逆の結果になるかもしれない。残念ながら天皇杯2次ラウンドで敗れた千葉は、今週末のブレーク期間中に離陸するための準備に勤しむことで、悲願達成にも近づくはずだ。レギュラーシーズンはまだ半分にも達していない。
文・写真 泉誠一