10月3日、4日に行われたサンロッカーズ渋谷vsシーホース三河の開幕2連戦はいずれも最後まで予断を許さない白熱戦となったが、粘るSR渋谷を振り切った三河が第1戦82-78、第2戦89-87で勝利した。三河と言えば、昨シーズンはダバンテ・ガードナー、川村卓也といったリーグを代表する有力選手が移籍加入したことで話題を呼んだが、前半戦のつまずきが響き18勝23敗と5割に届かないままシーズンを終えることになった。大黒柱として長年チームを支えてきた桜木ジェイアールが引退した今シーズンは日本代表の成長株と言われるシェーファーアヴィ幸樹(206cm)、内外でアグレッシブなプレーを見せる高橋耕陽が移籍加入し「より走れるチームになった」と、鈴木貴美一ヘッドコーチ。中でも欠かせないプラス要素はベテランガード柏木真介の加入だという。
「去年、一昨年というのは1番、2番の選手が変わってしまって、若い選手が良く頑張ってくれたもののやはりそこで苦しんだ感は否めません。長野誠史選手も熊谷航選手も去年より確実に成長はしていますが、チーム全体を見ると(そのポジションを)さらにレベルアップさせなくてはならないというのはありました。そこに経験豊かな柏木選手が入ってきたのはとても心強いこと。間違いなくゲームに安定感が増しました」
柏木は2006年からアイシンシーホース(当時)に在籍し、2017年に移籍するまで『王者アイシン』と言われた黄金時代はもとより、多くの主力選手が抜け優勝から遠ざかった時代も再びチャンピオンに返り咲いた時代も鈴木ヘッドコーチの懐刀としてコートに立ってきた。
「私が一番長く苦楽をともにしてきた選手。私が何を考えているのか、何を求めているのか、いち早く察知して周りに伝えてくれる能力があります。ゲームにはいろんなシチュエーションがありますが、それをいちいちベンチから若い選手に全部伝えるのは難しい。でも、彼に伝えれば、すぐに全体に伝わるんですね。そういった意味ではすごく信頼していますし、安心もしています。同時に若い選手が彼から学ぶことは多いと思っています」
また、鈴木ヘッドコーチが「去年はどちらかというとオフェンスマンが多くて、ディフェンス練習をしてもあまり効果が出なかった」という部分でも“鬼のディフェンス”で知られる柏木の存在はプラスに働いている。「去年までは『まあ点を取っていこう』という雰囲気がありましたが、今年はディフェンスの練習の強度も増して、1対1のディフェンスは弱くてもみんなで頑張るチームディフェンスの力がついてきたと感じています。特に勝負どころで(その力を)出せるようになってきたのが大きいですね。勝負所で1本のディフェンスができない、1本のシュートが決められないという状況だった去年に比べ、粘り強さも出てきたのは大きな変化だと思っています」