誰よりも強い、勝利への執念
「はじめて新潟を離れて生活をしています。一人暮らしもほぼはじめてで、メチャクチャ環境が変わったし、全然違いますね」
新潟アルビレックスBBのホームである長岡市で生まれ育った今村佳太は、琉球ゴールデンキングスへ移籍し、新たなるチャレンジに向かう。いくつかのオファーがあった中で、「すごい熱量だったのがキングスでした。バスケ選手としてはもちろん、人間としても成長できるのはどこのチームかと考えたときに、キングスが一番良いと思い決断しました」。
藤田弘輝ヘッドコーチだけではなく、並里成や田代直希が熱心に誘ってくれた。2018年、ともに日本代表に選出された並里とは、お互いに「いつかは同じチームでプレーしたい」と話していた。「プレーや身体の使い方、ボールの扱い方。今まで映像で見ていたときとは違い、実際に目の前で見たらすごく感動しました。人ってこんなふうにも動けるんだ、という衝撃を受けました」という並里を敬愛している。
昨シーズンの今村は平均10.9点、2.7アシストなどスタッツを倍増させた。「これまでは、まわりの方々にチャンスメイクをしていただいて得点する部分が多かったですが、昨シーズンは自分から得点を獲りに行ったり、チャンスを作ったりすることができました」と成長した点を挙げ、それが自信につながってもいる。しかし、2年連続のチャンピオンシップには届かせることができず、「チームの勝利につなげられなかったというのが、僕の今の実力でもある」という課題を払拭する思いは強い。
「今年25歳になるがもう若くはない。世界的に見てもそうですし、Bリーグでも特別指定には若くて上手い選手がどんどん下から突き上げてきています。若くはないこの年齢ゆえに、結果を出していかなければいけないシーズンになるとすごく思っています。その決意を込めて移籍しましたし、キングスを勝たせたい気持ちは誰よりも強く持っています。このチームで結果を出してこそ、自分の存在意義も見つかると思っています。今シーズンに懸ける思いは誰よりも強いです」
自分の特徴や長所を見つめられるハイレベルな環境
ベテランが多い新潟だったが、琉球には同世代かつ同じサイズの選手が豊富におり、今まで以上に刺激的な日々を送っている。「田代さんは、得点の獲り方などが僕と似ていると思っています。見て学びながら、経験値を上げられています。船生(誠也)さんは独特のリズムでバスケをしているし、石崎(巧)さんも間の取り方が絶妙に上手いです。今までになかった感覚をいろんな角度から学べる場所です」新潟経営大学出身の今村にとって、同世代とはいえ学生時代は交わる機会はほとんどなく、憧憬の目で「見ていた人たち」である。
「牧(隼利)なんてインカレMVPになったスターです。そんな選手たちと同じコートで戦えることに、感慨深いものがあります。学生時代はインカレで関東の上位チームを倒したいと思っていましたが、それが今は仲間にいることがすごく心強いです」
しかし今村もプロとなり、様々な経験をしたことで「今は自分の方ができる、というメンタリティでいつも練習しています」と自信を持ってぶつかり、成長につなげている。「日々の練習から高いレベルでできていることで、自分の特徴や長所が何かを考え、そこを生かして差を付けていかなければいけません」と言い、自分自身との戦いでもある。