── 前を向くためのミーティングではどんなやりとりがあったのでしょうか?
1年目のミーティング時は本当にしんどかったです。どこまで言っていいのか分からないけど……当時はプロではなく、社員選手という部分でのモチベーションの差はすごく感じました。どうしても矛先が外側に向いてしまい、誰かのせいにしてしまうことが少なからずあったことを覚えています。今振り返れば、「自分たちが変わらなきゃダメなんじゃないですか」とガンガン発言していた1年目の篠山さんは、本当にナマイキだったなって感じます(笑)。
でも、あの苦しさを経験でき、そこから選手の入れ替わりがある中でどんどん意識の高い組織になっていき、今の川崎ができあがっていると思うんです。そういう意味では、チームの成長を感じられる大きい経験でした。
── それぞれのチームで様々な経験をした選手たちが、日本代表に還元してくれると思うと頼もしく思えます。また、1年延期となったことで強化期間が増えたオリンピックへ向けても期待が高まります。
それぞれの経験を踏まえ、日本代表のミーティングでは一人ひとりが発言に責任を持ち、常に矢印が自分自身に向いていました。あらためて頼もしいなと思いました。あとは、その思いや感じていることをうまくコートで表現するだけだなって思ってもいました。でも、ワールドカップのときはどうしてもトーンダウンしてしまい、ニュージーランド戦とモンテネグロ戦はもどかしい展開になってしまいました。あの試合はもう一歩踏み出せる方法があったと思いますし、自分自身も「ネガティブな部分は払拭して新しい1日に向かっていこう」というメッセージを伝えていました。特に(竹内)譲次さんや(竹内)公輔さんら経験あるベテランたちが話をすることで、若い選手たちが気持ち的に前向きになる部分もありましたが、結果に結びつけることできなかったです。でも、オリンピックに向けて、一人ひとりの意識改革になったと感じています。2019年夏にワールドカップでいろんな経験ができましたが、その1年後にオリンピックが来ることに対しては期間が短い、もう少し時間が欲しいと正直感じていました。なので、この延期は必ずプラスになります。男子バスケ界に限って言えば、この延期はラッキーだと捉えて良いと思っています。
川崎ブレイブサンダース #7 篠山竜青
「チャンピオンシップのときにはどんなチームになっちゃうんだろう」
part1「新戦力や若手の台頭により『プレータイムを奪い合う形がより明確にできあがった』」
part2「世界のスタンダードに近づくためのリーグ改革は『川崎が引っ張った』」
part3「ケガをしたときに考えるのは『神様からのお告げ』」
文・写真 泉誠一
画像 バスケットボールスピリッツ編集部