── 全治3ヶ月は大きなケガと言えますが?
5年前に左の脛を骨折し、ほぼ1年間を棒に振った時期がありました。それを基準に考えれば、「3ヶ月で済むんだ」という感じでした。今になって、脛を骨折した経験がこういうところでも生きてくるんだなって思います。
── 全てのできごとには何か意味があるわけですね。
自分にとって都合が良い捉え方ではありますが、常に何か困難であったり、アクシデントがあったりしたときに、何年か後の未来にあの経験があったからこそ今の自分があると言えるように考えています。
── キャリアを振り返れば、ルーキーイヤー(2011-12)は8勝34敗と苦しいシーズンでした。ワールドカップでは1勝もできませんでした。トップアスリートとしてのキャリアをスタートさせた1年目、オリンピック前に世界を経験したそれぞれ大事な場面での苦い経験は明るい未来につながっていますか?
ルーキーシーズンに断トツで最下位になったときは苦しかったですし、本当に苦い経験でした。やっぱり勝てないときこそ人間の本質が出るわけで、苦しいときの捉え方や取り組み方が人それぞれ違って見えたことは勉強になりましたし、今考えるとすごくいい経験だったと思います。その悔しさやもどかしさがあるからこそ、それをモチベーションに変えて翌年の準優勝やその次の優勝につながっていきました。やっぱり本当に苦しい状態を知っていることは、非常に大きな財産です。
ワールドカップのときも本当に苦しかったです。でも、その中でも諦めずになんとかなんとかこの状態を良くしたいともがくチームメイトを見て、あらためて「この代表チームが好きだな」と思えたことも僕の中ではすごく大きかったです。コートでそれをうまく体現できず、もどかしい思いをしたファンの方もたくさんいると思うんですけど、僕らしか知らないロッカールームや宿舎でのミーティングがあるので、あの経験は必ず次につなげていきます。