── 辻さんはそんな藤井さんをポイントガードとしてどう評価していますか?
辻 祐眞は竜青さんや青木(保憲)とはタイプが違うポイントガードだと思っています。15点、20点稼げるガード、得点がメインのガードですね。体力があって、運動量が図抜けていて、フィニッシュまで行ける。そういった能力があるから去年はシックスマンとして活躍したし、竜青さんがケガしてメインで出るようになった今年もそのままのパフォーマンスを見せてくれていると思います。もちろんアシストもできますが、やっぱり点が取れるというのが武器だし、それが祐眞のスタイル。(川崎に)入ったころはそこまで点を取っていなかったと思うんですが、そこから自分の武器を磨いて独自のスタイルを作っていったような気がしますね。
藤井 たしかにチームに入ったころはコートに出ると、どんな状況でも辻さんかニックを探していました。自分が点を取ることは考えないで、まず辻さんかニックを探すみたいな。変わったのは辻さんがケガをしたときだと思います。頼れる人がいなくなって、自分が行かなきゃという気持ちが出てきました。ほんと、それぐらいからですね。自分が変わっていったのは。
辻 さっきも言いましたが、祐眞は竜青さんや青木とはタイプが違うポイントガードなんですよ。よくシューターはガードのパスで生かされるみたいことを言いますけど、祐眞は逆で、シューターがいるから生きる。祐眞のパスで僕が生かされるというより、僕がボールに触れないときに祐眞が生きるという感覚があります。
── なるほど。ポイントガードのタイプが違えば関係性も違ってくるということですね。では、藤井さんから見たシューターの辻さんはどんな選手なのでしょう。
藤井 辻さんをひと言でいえば「なんでもできる選手」ですね。僕が辻さんにパスを出すとき「ここでシュートを打ってくれ」という感じはないんです。
── このパスで1本決めてくれとは思わない?
藤井 思わないです。僕の中では辻さんはシューターだけどただのシューターじゃなくて、自分でゲームをクリエイトできる人なんですね。すごいシューターには違いないけど、ピック&ロールを使って相手のディフェンスを崩せるし、フィニッシュまで持っていける。なんていうか『ザ・シューター』というより『なんでもできるシューター』という感じです。だから、自分のパスをどう生かしてくれるかは辻さんに任せるというか、辻さんの判断力を信頼しているというか。とにかくシューター+αのαの部分がとても大きい人だと思っています。
辻 いやぁ、竜青さんのケガだけじゃなく、おまえ(藤井)がインフルエンザで欠場になった天皇杯はさすがにビビったけど(笑)
── ビビっていたんですか?
辻 はい。試合が始まる寸前まで「どうしよう、どうしよう」と思ってました。「こんなときにインフルになりやがって」とか(笑)
藤井 迷惑かけてすみません。あらためて、辻さん、あのときは大変申しわけございませんでした!
part2「『勝負所どころで託された1本は必ず決められると思って打つ』(辻)」へ続く
文 松原貴実
写真 川崎ブレイブサンダース
試合写真 安井麻実、B.LEAGUE