富山のツートップが語る進化への道程
Bリーグ元年に富山グラウジーズへ移籍し、チームの顔として、もはや地元出身の水戸健史と双璧を成すまでとなった宇都直輝。NBL時代のアーリーエントリーの期間を含めると6シーズン半、プロ選手として活躍を続けている。一方の前田悟は今年がルーキーシーズン。特別指定選手で加入した昨シーズンこそ8試合、合計22分30秒にその出場を留めたが、今シーズンは開幕8試合目となるシーホース三河戦以降、スタメンとして起用され続け、チームでは日本人トップの1試合平均11.5点をあげた。
実はこの2人、ともにポジションの“コンバート”を経験している。宇都はオールラウンドプレーヤーからポイントガードへ、前田はインサイドプレーヤーからシューターへ。そんな2人が織り成す「コンバートXシュート」の妙味。第1話では2人がコンバートしたタイミングについて───。
── 山形南高校時代の前田選手はインサイドプレーの印象が強いのですが、アウトサイドにコンバートしたのは青山学院大学に入ってからですか?
前田 はい。でも実は僕、小中学生のときはそれほど身長が大きくなかったのでアウトサイドをやっていたんです。中学2年から一気に身長が伸びて、高校に入学するときには190センチくらいになっていました。高校ではほかに大きい選手がいなかったので、インサイドになりました。3ポイントシュートも、中学までは打っていたんですけど、高校では「3ポイントシュートは打っちゃダメ。誰がリバウンドに行くんだ?」みたいなことを言われて(笑)。大学も自分としては1年のときからアウトサイドをやりたかったんですけど、最初の2年間は4番ポジションでした。アウトサイドに出て、3ポイントシュートを打つようになったのは3年生になってからですね。
── それでも経験があった分、アウトサイドでプレーすることへの違和感はなかったのではありませんか?
前田 いや、やっぱり高校3年間が本当にインサイドだけだったので難しかったです。ドリブルもまったく突けなくなっていたし、3ポイントシュートも打てなくなっていました。ただ大学3年から再び3ポイントシュートを打ち始めて、富山に入るときもそういうポジションで獲るって言われていたので、僕もやりたいポジションでしたし、気持ち的な戸惑いはなかったです。練習をしていくだけという感じでした。
── コンバートという意味では宇都選手もそうだと思います。大学時代まではオールラウンドに活躍するプレーヤーだったのが、プロになってポイントガードにコンバートをしました。
宇都 そうですね。ただ僕も小学生のときはポイントガードをやっていたんです。中学、高校では決まったポジションがなくて、点も取って、インサイドもやって、ボール運びもしていました。大学も、最初の3年こそ点取り屋でしたけど、4年目のときはポイントガード。だから個人的な感覚としてはそこまで「コンバートをした」という感じはないんですよね。もちろん、ちゃんとポイントガードとしての仕事をやり始めたと言えるのは、大学卒業後、プロになってからですけど。