3月27日、Bリーグは新型コロナウイルス感染症の影響により2019-2020シーズンの残り全試合を中止にすると発表した。広く世界を揺るがし、未だ終息する気配がないコロナウイルスの脅威を考えれば致し方のない決断だったと言える。
シューターとコンバート選手をテーマにした特集で滋賀レイクスターズを訪ねたのは3月5日のことだった。コロナウイルスの影響はすでにバスケットボール界にも及んでおり、Bリーグは試合延期期間を設けていたが、滋賀の練習場ではリーグ再開に向けての練習が続いていた。シューターの狩野祐介と大型SFとして注目を集める佐藤卓磨はともに『熱量あふれる選手』として知られる。普段は“静”の狩野と“動”の佐藤という印象があるが、それぞれの根っこにある思いは同じだ。この日、2人が揃って口にしたのは「自分を磨くことでチームを押し上げていきたい」という言葉だった。
「3番は自分の利点を生かせるポジションだと思う」(佐藤)
── 狩野さんと佐藤さんは東海大の先輩後輩になりますが、5年の差がありますよね。
狩野 はい。僕が4年のときの1年はベンドラメ礼生(サンロッカーズ渋谷)たち、その2年下が卓磨たち。だよね?
佐藤 そうです。僕が入ったのは藤永さん(佳昭・千葉ジェッツ)がキャプテンで、ザックさん(バランスキー・アルバルク東京)やケビンさん(晴山・千葉ジェッツ)が4年だった年です。
── では、同じ東海大でも接点はないんですね。
佐藤 大学での接点はないですが、僕個人としてはあります。接点と言っていいのかわからないですけど、僕が東海大に入りたいと思ったのは祐介さんのプレーを見たからなんです。祐介さんがキャプテンだったインカレの決勝。相手は青学(青山学院大)だったんですが、そのときの祐介さんの気迫がすさまじかった。
── 優勝した瞬間、狩野さんがフロアにうずくまって号泣した試合ですね。当時3年生だった田中大貴選手(アルバルク東京)は後に「自分が初めて誰かのために勝ちたいと思った試合だった」と語っていました。その“誰か”が狩野さん。
佐藤 大貴さんじゃないですけど、祐介さんは後輩にそういう思いを抱かせる選手なんです。祐介さんのあの号泣は今でもチームで語り継がれていますよ。当時僕は高校2年だったんですが、めちゃめちゃ感動しました。あれを見て、絶対東海大に入りたいと思ったんです。
狩野 そう言ってもらえるのはうれしいけど……ほんとかよ?
佐藤 ほんとですよ!