── 極論ですが、マークが厳しくて1本しか打てなくて、その1本を決めるのと、何とかボールを受けて、何とか10本シュートを打ったけれども1本しか決められなかった。その場合、後者のほうがいいと。
松井 そう。僕は10分の1のほうがいいと思います。だって「シュートがうまい」と言われている選手が3ポイントシュートを10本打っているんですよ。チームとしても一番シュートのうまい選手が10本打ったほうが試合に勝てる確率が高いじゃないですか。たまたまその試合は1本しか入らなかっただけ。僕も富山との1試合目(2月15日)、3ポイントシュートを7本打っているんですけど、1本しか入りませんでした。結局3点差で負けたんだっけ?
永吉 そうでしたね、それくらいの接戦でした(結果は73-75。2点差で京都が敗れている)。
松井 僕は今シーズン、47%の確率で3ポイントシュートを決めているんですけど、その試合でもそれくらいの確率、たとえば7分の3(42%)を決めていれば勝っているんですよ。そういう意味では、チームとしてやれることはやれたと思うんです。ただ僕が結果を出せなかったから負けたと。1分の1だと確率的にはいいかもしれないけど、チームからすればシューターが1本しかシュートを打っていないわけです。これは問題です。もちろんシュートの得意じゃない選手が3ポイントシュートを10本も打っていたら、それもそれで問題ですけど。
永吉 だから僕はむしろ1分の1ですね。僕はKJみたいにスクリーンを使って打つプレーはしなくて、コーナーで待って、ノーマークで打つほうが多いんです。だから少ないチャンスでいかに決めるかを意識しています。
松井 僕は佑也のシューティングに対して注意することが1つあるんです。わかるかな? よく俺が言っていることだけど。
永吉 ラインですか?
松井 そう、ライン。佑也の悪い癖……というか、ビッグマンってシュートのレンジを広げることによって、特にコーナーで3ポイントラインを踏みがちなんです。3ポイントの距離も数年前に伸びたでしょう? 練習でもその新しいラインでたくさん打っているわけだけど、無意識に踏んで打っていることがあるんですよ。それってすごくもったいないんです。ちょっと下がれば3点なのに、意識しないで打っているから、結果として踏んで2点になってしまう。僕は、ラインを無意識に踏んで2点にしてしまうことが、バスケットの中で一番悪いシュートだって教わりました。だからよくシューティングのときに「今のは2ポイントシュートだよ」って言っています。
永吉 KJくらいのシューターにそう言われたら、そうしなきゃって思いますよね。やっぱりシュートを決めている選手なので、シュートのことに関してはすごく説得力があります。
── 松井選手は感覚的に、どこにラインがあるかわかっている?
松井 はい、感覚的にわかります。サイドラインも絶対に踏みません。ウチのチームだと(寺嶋)良とか、(中村)太地とか、よくサイドラインを踏むんですよ。それは、彼らが足を前後に動かすステップを踏んでいるから。でもそのステップはコーナーでは絶対にできないです。なぜなら後ろにラインがあるから。だったらサイドステップを使ったほうがいい。そういうところがまだ経験不足かなって思います。
part4「読者に問う。永吉が“グリーン”なら、KJは?」へ続く
文 三上太
写真 沼田侑悟