ゴールにアタックする気持ち、空いたらすぐに打つシューターとしてのメンタル
内田の活躍により、第2クォーターだけは27-20と上回っている。「久しぶりのゲームでもオフェンスはこれぐらいできるんだな、ということが分かりました。対戦相手も川崎だったので、そこは自信につながりました」と敗れた中でも得るものは少なからずあった。良い時間帯を積み上げ、長くしていくことが重要であり、第2クォーターの戦いぶりが今後のきっかけになれば良い。
「チームとしてはオフェンスよりも、絶対にディフェンスです。東地区であれば、特にボールマンプレッシャーがきつくなるので、こちらが得点をする場面が正直言って難しくなると思います。ディフェンスをがんばることによって(体力を消耗させ)、後半は互角にゲームを運ぶことができるし、最終的に得点源となるマーキースやミークスがいるので、まずはディフェンスにフォーカスすることが大事です。個人的にもディフェンスをがんばることと今日のようなゴールにアタックする気持ち、そして空いたらすぐに打つというシューターに欠かせないメンタルを引き続き出していけるようにしたいです」(内田)
現在13勝27敗の北海道は東地区最下位であり、リーグ全体では下から数えて5番目。下位4チームに待っている残留プレーオフ圏外ギリギリのところに位置する。残る20試合中、強豪ひしめく東地区との対戦は15試合と大半を占める。厳しい中ではあるがひとつでも多くの白星を挙げ、この位置から早く抜け出したいところだ。
しかし ──
「バスケットで日本を元気にしようというスローガンを彼らが見せてくれるものだと思っています。ゲームは勝ち負けもありますけども、我々はその中で……」
試合後の記者会見中、内海ヘッドコーチは途中で言葉を詰まらせる。目には光るものが見えた。心を落ち着かせ、その続きを絞り出す。
「選手たちは一生懸命やっています。今日、試合ができた川崎にも感謝したいです」
飛沫感染や接触感染すると言われる新型コロナウイルスだけに、コンタクトスポーツのバスケにおいてはリスクが高いのも事実である。選手の安全を預かるヘッドコーチやスタッフにとっては心労が絶えない。「このような状況の中で、本当にこの再開や無観客試合が良かったかどうかは私も分かりません。ただ、一番に考えてもらいたいのは選手の安全であり、何を差し置いてもそこだけは一番に考えてもらいたいです」と内海ヘッドコーチは訴えていた。
リーグ再開を心待ちにしていたが、実際に試合を目の当たりにし、その後のヘッドコーチや選手の心境を聞けば何が正しいかは分からない。リーグの決定を尊重するとともに、リスクを恐れずに現場で戦う選手やスタッフに感謝し、無事を祈るばかりである。
文・写真 泉誠一