特別指定選手として日本に帰ってきた酒井達也も楽しみな存在である。中学2年時のジュニアオールスターで、福岡県を日本一に導いたことで記憶に残っていた。前橋育英高校を経て、アメリカのネブラニカ大学カーニー校へ留学。その後、昨シーズンはスペインのCB Artesなるチームでのプレー経験を積んだ。22歳になった今シーズンより帰国し、越谷でプレーしている。
「ターンオーバーを減らすために2ガードにする形が多いですが、彼の場合はポイントガード1枚でも使える選手です。ドライブで切っていく力やビジョンの広さがあるので流れを変えられますし、彼一人に任せられるという信頼感があります。積極的に得点を獲っていますし、3Pシュートも得意なので、アシストやコントロールばかりを考えずに、積極的に得点を獲るところは今後も期待していきたいです」
青野ヘッドコーチは、酒井をこのように評価する。取材したアースフレンズ東京Z戦では、「今日(2月22日)はアシスト2つ、スティール1つという数字ですが、明らかに前半の中で一度流れを呼んだ功労者と言えます。この先もっとプレータイムも勝ち得る力を持っています」と続ける。オフェンスだけではなく、ディフェンスでもコート内外でのリーダーシップでもその存在感を示していた。
日本人選手に光をあてる縁の下の力持ち
活躍する選手の影には、必ず光をあてる存在がいる。「今シーズンも外国籍選手の入れ替えがありました」と青野ヘッドコーチが言うように、これまで6人が在籍してきた。現在、B1宇都宮ブレックスでプレーするジャワッド・ウィリアムズと富山グラウジーズでプレーしていたダニエル・オルトンは越谷経由である。結局、チャールズ・ヒンクルとアンドリュー・ネイミックに落ち着いたようだ。
ヒンクルは平均23.4点でチームを引っ張るポイントゲッターである。対するネイミックは、縁の下の力持ちとして日本人選手に光をあてていた。「ネイミック選手は献身的にスクリーンをかけてくれることで、日本人選手がオープンでシュートを打つことができています」と青野ヘッドコーチも評価する。前節のアースフレンズ東京Z戦では、「そこを相手がディフェンスで対応してきた」ことで、ネイミック自身が逆を突いてゴールを狙い、17点・13点と2戦に渡って平均以上の数字を残すことができた。
年明けから成長が見られる越谷だが、残念ながら結果は伴っていない。年明け早々には4連勝したが、現在は6連敗中であり、2020年これまでの15試合は6勝9敗と負け越している。残る15試合は、西地区首位に立つ広島ドラゴンフライズとの2連戦以外、すでに対戦済みの中地区同士だけだ。今週末は3週間ぶりのホームゲームが予定されていたが、Bリーグは新型コロナウイルス感染の影響により3月11日までの全試合が延期することを発表。今後事態が収束し無事に再開されれば、3月14日・15日もホームゲームであり、対戦したばかりの東京Zとの再戦となる。通常営業が戻って来ることを祈るばかりだ。
文・写真 泉誠一