「古川さんの存在がすごく大きくて、自分がこれで良いだろうと思っていても違う視点でアドバイスをくれます。それを受け入れて練習してみたら、しっかりフリーになって打てるようになりました。古川さんから多くのことを吸収することで、もっとレベルアップできると思っています。いずれは古川さんをしっかり超えて、自分がスタートに定着できるようになりたいですし、負けたくないという気持ちはチーム内でもあります」
練習中は古川の厳しいディフェンスに潰され、ボールをもらえないことも多い。「その中でしっかりとかいくぐって行くことができれば、A東京や宇都宮、千葉などディフェンスが強いチームを相手にもしっかりボールをもらってシュートが打てるようになる」と信じて取り組み、試合でも発揮しはじめていた。
チームの約束事であり、最初に意識しなければならないのはディフェンスの方だ。「東地区との対戦ではディフェンスができなければ、自分のせいで失点が大きくなってしまいます」という保岡は、これまでと変わらずに身体を張っている。
しっかり土台作りをしていきたい
保岡はBリーグ元年から秋田ひと筋、4シーズン目を迎えた。その間にはB2降格の悔しい経験もしてきたが、「自分たちのやるべきことさえできれば、東地区でも勝つチャンスは十分にあります」と自信が芽生えている。今シーズンはすでに宇都宮ブレックスに1勝、アルバルク東京には2勝を挙げた。しかし現状は15勝19敗であり、高いインテンシティを持続できずに敗れた試合の方が多い。平均年齢27.4歳と若いチームは一生懸命に目の前の勝利を目指しながら、一つひとつ積み上げている最中だ。
「昨シーズンのB1では下位争いでした(東地区5位)。今シーズンはスタートダッシュし、ワイルドカードに届く勝率でしたが、その後に順位が下がってしまいました。折り返したばかりであり、チャンピオンシップに少しずつ近づいていることは感じています。今シーズン、その目標を逃したからと言ってそこで終わるのではなく、2〜3年後にはチャンピオンシップに定着できるチームになれるように、今はしっかり土台作りをしていきたいです」(保岡)
目的を持って階段を上っているチームは、今は弱くても、たとえ結果が出なくても、信じて応援したくなる。筆者が愛するワシントン・ウィザーズもその繰り返しで、27年が経っていた。バスケ王国・秋田の熱狂的なピンクのブースターだからこそ、今後への期待感や成長を見守る充実感を感じていることだろう。
文・写真 泉誠一