広島皆実高校ではオールラウンダーであり、チームのエースだった。今シーズンから3Pシュートを身につけ、また18歳以下の3×3日本代表として臨んだU18アジアカップではチャンピオンになり、プレーの幅やシュートエリアがどんどん拡大している。堀田剛司ヘッドコーチは「能力は高いし、身長も高い。191cmあるがガードもできる逸材」と期待しかない。その素材を生かすため、現在は森田憲吾トレーナーとともに、身体のバランスを良くした上で筋力をつけることに重点を置いて、プロで戦う身体作りに励んでいる。
広島は明るいチームであり、「皆さん、やさしくしてくれています」とすでに溶け込んでいた。初得点をアシストした岡本飛竜が「おもしろいので大好きな先輩」であり、話す機会も多く「勉強になることがたくさんあります」。2月2日東京Z戦で22点と活躍した朝山正悟を、憧れの選手として挙げた。「オフボールの動き方やディフェンスを見てプレーするところは学ぶことが多いです。練習中からしっかり見て盗んで自分のプレーにできるようにしたいです」と192cmのアウトサイドプレーヤーを手本にする。
大学までの空白を埋めるために飛び込んだプロの世界
憧れていた地元チームでプレーする今、「ちょっと緊張します」というのが正直なところ。「それでも応援に来てくれるのは本当にありがたいことです。ドラゴンフライズの一員である以上は、プレータイムが少なくてもそれ以外のところで自分ができることを精一杯やっている姿を見せられたらな、と思っています」とベンチを盛り上げていた。
バスケに限らず、日本においては高校スポーツの方が注目度は高く、特別指定ながら三谷への関心度も高い。「私たちのチームにとっても地元の選手はすごく大事です。ブースターの方も三谷選手が出てくると声援が全然違います」と堀田ヘッドコーチは明かし、すでに地元に愛される存在になっている。「プロの練習の中でも外国籍選手ともぶつかったりしており、良い経験ができています。今後が本当に楽しみな選手であり、また広島に戻ってきて欲しい」と堀田ヘッドコーチが早くもラブコールを送る。3月中旬からは進学を決めている筑波大学の練習がはじまるため、広島でのプレーもあと1ヶ月余りだ。
「(高校で)引退してから大学生に行くまでの期間が本当に大事になる」と三谷は考え、少しでもその空白を埋めるためにプロの世界へ飛び込んだ。「今、最高の環境で練習できるのは特別なことなので、ぜひ挑戦できる機会があるなら絶対に挑戦して欲しいですね」と臆することなく後輩たちも後に続くことを願ってもいた。
現在、西地区首位に立つ広島は昇格に近い位置にいる。また来年も特別指定制度を活用し、大学在学中に戻って来れば、そのときはB1でプレーできるかもしれない。三谷自身も「また話があれば、がんばりたいです」と前向きだ。
B1昇格に向けて負けられないB2の広島と、失うものはないB1最下位の三遠に身を置く2人の高校生たち。この経験がこれから進む大学や、その先に待つバスケ人生に良い影響をもたらせて欲しい。
文・写真 泉誠一