「アーリーカップの1戦目はスタートで出させてもらったのですが、次の試合は外されて…」という前田が先発で起用されたのは、10月23日の三河戦からである。「活躍したらちゃんと評価してくれるコーチなので、プレーで見せたというか、しっかりチャンスを生かすことができたので、だいぶ信頼を勝ち取れてきていると思っています」とコツコツと積み上げてきたことで花が開きはじめている。
シューティングガードとしてプレーする時間帯もある前田の理想像は、「名前を挙げれば、田中大貴さん(アルバルク東京)や安藤周人さん(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)のようなハンドルもできて、パスもさばけるようにもっとプレーの幅を広げていきたいです」。八村塁(ワシントン・ウィザーズ)とともに、U17日本代表のキャプテンとしてU17ワールドカップに出場した世界を知る選手であり、期待値は高い。新人王について聞けば、「狙っています」と即答していた。
スミスがケガをしたことでプレースタイル変更を余儀なくされたが、富山にとってはチャンスである。来シーズンはベンチ入りできる外国籍選手が3人(※試合中コートに立てるのは2人のまま)となり、スミスが入る時間帯と今のスタイルを使い分けることで、緩急をつけられるのはプラスに働きそうだ。
川崎に勝利した勢いに乗り、富山は初の天皇杯ファイナルラウンドに挑む。もちろん前田にとっても初の天皇杯ファイナルラウンドである。
「宇都宮(ブレックス)はBリーグでもトップチームです。でも、川崎戦のように引かずにディフェンスからアグレッシブにいけばチャンスはあると思っています。優勝を目指して、僕たちもがんばりたいです」
今シーズン、すでに宇都宮と対戦し、その戦績は1勝1敗だった。チャンスはある。
文・写真 泉誠一