「今まではこういう試合になったら、竜青さんが引っ張ってチームを鼓舞してくれていました。それは言葉でも、プレーでも、態度でもそうです。今日のような試合展開になったときこそ、竜青さんの存在の大きさを身に染みて感じます。だからこそ、賢次さんからは全員がリーダーシップを持つように、と常々言われています。言葉ではニック(ファジーカス)やジョーダン(ヒース)も言ってはいました。あとはプレーで引っ張る人として(藤井)祐眞に続く選手が出て来なければならず、僕もそこはやっていかなければいけない部分です」
篠山がいないことで、辻がポイントガードを担う時間帯もある。「何年かぶり」と言っていたが、鈴木貴美一ヘッドコーチ(シーホース三河)や長谷川健志ヘッドコーチ時代の日本代表(2013〜16)では、そのパスセンスを買われてコンボガードにも取り組んでいた。ハーフコートではニック・ファジーカスとのコンビネーションプレーで打開し、ルーキーシーズンから勝利を積み重ねてもきた。富山との2連戦ではいずれも4アシストを記録しており、問題はない。
32点差の屈辱的な敗戦は、「力を出せば負ける相手ではないと思っていますし、だからこそなおさらこのような試合になってしまったことで、見ているファンの人たちに申し訳ない気持ちがありました」と辻は言い、試合後のハイタッチ時は終始ふくれ面だった。連勝が切れたからこそもう一度自分たちを見つめ直し、優勝へ向けてリセットしなければならない。そのチャンスが今週末に早くもやって来る。
「欲を言えば、連勝したまま天皇杯を迎えたかったです。でも、チームとしての反省材料が今日の試合ですごく見つかりました。天皇杯まで時間はあまりないですが、アルバルクのプレッシャーも強いですし、そういう相手に対してレフェリーと戦うのではなくて、最後まで集中してチームとしてやるべきことは明確になっています。それを40分間徹底すれば、絶対に結果はついてくることも分かっています。もう一回、チーム全員で話し合って自分たちを信じて戦えば、天皇杯も良い結果が出ると思っています」
1月9日(木)にさいたまスーパーアリーナで開幕する天皇杯ファイナルラウンドでは、アルバルク東京と準々決勝を戦う。両チームの対戦は今シーズン初となり、現在リーグトップ勝率(85.7%/24勝4敗)を誇る川崎の真価が問われる。
文・写真 泉誠一