敗因となるメンタルの差のからくり
2020年最初のゲームで、Bリーグ最多記録を更新する16連勝目を挙げたのは、中地区を独走する川崎ブレイブサンダースだ。しかし、翌日は富山グラウジーズに返り討ちに遭い、56-88で敗れて連勝が止まる。佐藤賢次ヘッドコーチが言うように、「出だしからディフェンスがソフトで、チームでやろうとしていたことが全然できず、相手に流れを持っていかれてそのまま終わってしまった」。負けた試合は出だしにつまずくと、メンタル面の欠如を敗因に挙げるケースは多い。記者からソフトになってしまった点についての質問が及ぶ。「う〜ん。そこは選手に聞いて見ないとわからない部分ですが…」と指揮官も困惑していた。
「相手が昨日よりも今日の方がハードにやってくることは、賢次さんも試合前に仰っていました。それに対して、さらに上回る強い気持ちを持っていないといけなかったです。言ってしまえば、昨日(83-60)は楽な展開になり、そのイメージのまま試合に入ってしまえば、今日のような展開になってしまいます」
そう話す辻直人のコメントによれば、勝った試合も負けた試合も同じエナジーで臨んでいたと言える。しかし、それ以上に相手は「エナジーを出して、ボールを獲りにくるディフェンスをしてきました。それを逆手にとって冷静に判断をしていれば、相手の出鼻を挫く展開にもなったと思います」と続ける。前日に快勝し、連勝し続けていたからこそ、これまでと同じ強度で臨むことが大前提にあり、ある意味では及第点の入り方だったのかもしれない。しかし、想定外のエナジーを持って向かってきた相手に対し、「アジャストできる力をもっともっとつけていかなければいけない」と辻は反省点を挙げた。
キャプテンが戦線離脱する中で求められるもの
川崎は年末にマティアス・カルファニ(右膝関節外側側副靭帯損傷/右大腿骨内顆骨挫傷:全治未定)、篠山竜青(左肘関節脱臼:全治3ヶ月)と不運にも主力のケガが相次いでいる。勝っているときにチームを引っ張ることは誰でもできる。しかし、ビハインドを背負ったときこそリーダーシップやキャプテンシーが求められる。キャプテンの篠山がベンチにもいない状況ゆえに、富山に敗れたことで大事な部分に気付くきっかけになったはずだ。