part1「就職」より続く
富山グラウジーズに入団し、少しずつプレータイムが増えてきた水戸健史は、同時にプロとしての意識も変化していく。
「大学時代はウエイトトレーニングもせず、ただ練習をこなして帰る…本当にそれだけでした。でも、プロになってからは身体作りをしなければいけないと思い、しっかりトレーニングをするようになりました。当時、米本(聡)さんという先輩がおり、バスケットに対するいろんなことを教わりました」
チームメイトや対戦相手から多くを学び、良い部分を吸収しようという貪欲さが、プロになったことでの大きな変化だった。
チームとしても変化が見られ、「下地(一明)さん(現新潟アルビレックスBB U-15チームヘッドコーチ)がヘッドコーチとなり、城宝(匡史)さん(現ライジングゼファー福岡)が来たときに勝てるチームにしようという会社の本気度を感じました」というのが2011-12シーズンのこと。一本の線が通ったことで、徐々に順位を上げて行く。2013-14シーズンは8割を超える勝率で地区優勝し、ファイナル4初進出。bjリーグ最後の2015-16シーズンは優勝こそできなかったが、はじめてファイナルの舞台に立った。
迎えた2016-17シーズンはプロとしての環境が大きく変わった。これまでもプロリーグではあった。だが、「観客数も2000人が入れば良い方でしたし、平均1800人くらいだったと思います。それがBリーグになったことで昨シーズンは平均3千人を超え、試合によっては5千人を埋めるほど観客数も全然違います」と水戸は驚く。行政との関わりも様変わりし、「今は練習用の体育館も使わせていただいています。環境がこんなにも変わるんだということを実感しています」と感謝する。
最後となったbjリーグファイナルのあと、新リーグへの期待について聞けば、「選手としては従うだけ」と水戸は答えていた。あれから4年が経ち、実際にどう変わったのか、もう一度質問してみた。
「リーグが1つになるからといっても、選手としてはどうなるかは分からず、そこまで変わらないとも思っていました。でも、Bリーグになったことで注目度が変わり、自分たちもプレーだけではなく、私生活も含めてしっかり意識を高めなければいけません。常に誰かに見られていますし、どこかに行けば声をかけられる機会もすごく増え、一選手としての責任が大きくなり、その大切さを感じています」