平 その相談に1つひとつ乗って、要望に応えていくのも宮田GMの仕事?
宮田 そうですね。僕はチームの予算も管理していますから、できる範囲内で応えたいとは思っています。
池内 うちも今チームスタッフから新しい練習場を作ってほしいと毎日のように言われてますよ。
平 池内さんはジェッツのGMになって日が浅いこともあるし、いろいろ苦労も多いんじゃないですか?
池内 めちゃくちゃ大変です(笑)。GMってフロントの中でも1人だけ業務が違うから周りの人から理解されにくいところがあって、言ってみればちょっと孤独じゃないですか。上にも下にも弱音を吐けない立場のつらさのようなのはあります。
平 宮田さんは孤独だと思ってないよね、絶対。
宮田 絶対ってなんですか、確かに全然思ってないけど。でも、池内さんが言う孤独の意味はわかる気はしますよ。GMというのは他と情報の共有ができないというのがあって、たとえば選手の契約内容とかお金の話とか、言い面悪い面を含めて選手のことを自分だけが知っていなくちゃならないというのは当然あります。その情報の管理もしなくてはいけないし、ヘッドコーチと言えども共有できないこともある。それは自分の中で線を引かなきゃならないわけで。
池内 僕からしたらそう言いつつも選手をやりながらGMをしている宮田さんのバランス感覚がすごいと思います。秘訣があったら教えてほしいです(笑)
宮田 秘訣は…ないです(笑)。むしろ僕より周りがうまく順応してくれてる感じですね。今はGMとしての宮田だ、今は選手としての宮田だっていう具合に相手の方が切り替えて対応してくれる。総じて言えば「この人はそういう生き物だ」って思ってるんじゃないでしょうか(笑)
平 宮田さんを見てるとGMのイメージも変わりますね。
宮田 さっきGMってちょっとエラい人のイメージがあるって話が出たじゃないですか。でも、実際のGMはめちゃくちゃ行動力が必要な役職なんですよね。
池内 それは言えます。めちゃくちゃフットワークが求められますね。
宮田 ときにはそこで即決しなきゃならないことも少なくないわけで、人脈とか情報管理って意味では経験は必要かもしれません。だから、キャリアのある人がGMになるケースが多いんでしょうが、実はGMに必要なのはフットワークとコミュニケーション能力、それらを含めたエネルギーなんです。
平 年齢やキャリアに関係なく?
宮田 そうです。年齢やキャリアに関係なく。少なくとも僕はそう思っています。
part4「『僕は20年後にBリーグをNBAに次ぐリーグにしたいんです』(平)」に続く
文 松原貴実
写真 安井麻実