“川崎らしさ”を具現化していく新たなミッション
「まずは、あれですね。えーと…」と北卓也GMはパソコンを開き、資料を読み上げる。
「チーム運営」「チーム教育」「スカウティング」「事業サイドとの協力体制」「外部との連携」「ユースやスクール」など多岐にわたるが、選手獲得や強化方針を決める「チーム編成」がGMとして一番の仕事になる。
「まずは、東芝時代からベースにある“川崎らしさ”を明確にすることです。例えば、選手やヘッドコーチが代わっても、『BE BRAVE』(*)というクラブアイデンティティをもとに、川崎のチームフィロソフィーを普遍的なものにしていくための具現化が、いま求められています。また、ユースも含めて“川崎らしさ”を明確にしていきたいと思っています」
今年でクラブ創立70周年を迎える川崎の歴史の中で、GM就任ははじめてのことだ。日本語で言うところの強化部長もいなかった。裏を返せば、昨シーズンまでのチーム編成を行っていたのは、ヘッドコーチ時代の北GMである。事実、GMとして最初の仕事と思われた大塚裕土と熊谷尚也を獲得した大型補強も、「僕がまだヘッドコーチのときから動いていました。シーズン中から交渉できるので、チーム編成に対しては実際にGMになる前からはじまっていました」。この取材を受けるにあたり、「GMになったばかりなので何も分からないですよ」と身構えていたが、すでに同じ仕事をしてきたわけである。
では、ヘッドコーチとGMの違いをどう感じているのだろうか?
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