※本記事はバスケットボールスピリッツのWEB化に伴う、2018年2月末発行vol.18からの転載
佐々宜央新ヘッドコーチを迎え、メンバーも大幅に入れ替わったことで今シーズン大きな注目を集めた琉球ゴールデンキングス。前半戦を終えて西地区トップにつけるが、「真の勝負はこれから」という佐々ヘッドコーチのことばに油断はない。それは5年目を迎えた生え抜きのガード岸本隆一と今季から琉球の新しい顔となったシューター古川孝敏も同じだ。チームのキーマンと言える2人は『リーグで1番熱い風を吹かせるチーム』を目指して後半戦のコートに立つ。
── 今シーズンもいよいよ折り返し地点。前半を振り返っての感想を聞かせてください。
岸本 開幕したときはフルさん(古川孝敏)がケガでいなかったんですが、それもあってみんながいい意味で危機感を持ってやってこれました。勝ったり、負けたりはありましたが、目の前の課題をクリアしようというみんなの姿勢が感じられたのはよかったです。自分としてはすごく充実した前半戦でした。
古川 僕はケガして、手術してと、本来ならば移籍したチームで自分の役割を考えてそれをプレーで示さなきゃならないのに、チームメイトには迷惑かけるし、本当に不本意で悔しいスタートになりました。でも、その中でも何かで役に立ちたいというのはあって、自分の経験を伝えたりとか、そういうのは意識してやってましたね。
岸本 フルさんがうちに移籍してくると聞いたこときはすごくびっくりしたんですよ。まさにサプライズでした。でも、同時にすごく嬉しかったです。ウエルカム!って感じでしたね。
古川 僕の移籍はたくさんの人をびっくりさせたらしく、いろんな所で理由を聞かれました。この場を借りて言えば、移籍の理由はごくシンプルで「もっとうまくなりたい」という気持ちだけです。栃木ブレックスには4年いて成長させてもらったし、去年は優勝も経験できたし、本当に感謝しています。だけど、佐々(宜央ヘッドコーチ)さんといろいろ話すうちに栃木とは全くスタイルが違う琉球で、今まで自分がやってこなかったこと、できなかったことに挑戦してプレーの幅を広げたいという思いが強くなりました。現状に満足するのではなく、もう1つ、もう2つステップアップしたいと思ったんです。
── 古川さんの移籍も含め今シーズンの琉球は大きく様変わりしましたが、新しいコーチ、新しいメンバーを迎えるにあたって、岸本さんの中に不安はなかったですか?
岸本 不安というか、まず最初に感じたのは今までずっと一緒にやってきたメンバーと別れるのは淋しいなあということです。けど、チームを強くするというのはこの世界の最優先事項であることはわかっていたし、自分を含め残ったメンバーはわりとすんなり(新メンバーを)迎えられたと思います。ぎくしゃくするようなことは全くなかったですね。それと、やっぱり力のある選手がたくさん入ってきたことで、どういうチームになるのか、一緒にやるのがすごく楽しみでした。不安がなかったとは言えませんが、それより楽しみの方が大きかったです。
── 実際にプレーした感想は?
岸本 フルさんに関して言えば徹底力がすげーと思っています。たとえば大きく点差が開いて勝ちが決まったような試合があるとします。そうなると、わりとみんな好き勝手なプレーをしがちになるんですね。そんなときフルさんは「そうじゃないだろ」と必ず声をかけてくれるんですよ。自分たちはこの試合をどういうコンセプトで戦っているのか思い出して、最後まで徹底しろ!みたいな。本人が徹底する人だから説得力があります。また、同じガードのザキさん(石崎巧)は、練習を見ているだけで「頭がいいプレーするなあ」って思いますね。バスケに対する知識の量が違うっていうか、自分はまだまだバスケの理解力が足りないなと思います。どういう展開になったらここにボールが入れるのかとか、1つ1つの流れを読んでプレーすることの大切さに気づかされたし、今は自分なりにバスケの理解度が少しずつ増しているのを感じています。そういう意味でもフルさんやザキさんの影響は大きいですね。
古川 迎え入れてくれた方はわりとすんなりという感じだったみたいですが、僕はこう見えてものすごく人見知りなので、最初はみんなどんなヤツなのかなあと、ちょっとずつキャラを探る感じでした(笑)
岸本 えっそうなんですか。僕もこれまでフルさんとはあまり接点がなかったので、どんな人なんだろうといろいろ想像してました。フルさんはバスケに対してストイックなイメージがあるじゃないですか。だから、勝手にもっと“硬い人”だと思ってました。まさかこんなにいじられキャラだとは!(笑)
古川 はい、後輩にも毎日いじられています(笑)