二桁得点を軽く上回るスミスだが、NBAキャリアにおける平均得点は4点。平均16分出場していたロケッツ時代でも平均6点だった。「NBAの時も得点は求められていたし自信はあった。日本ではよりその部分で活躍できるようにしたい」と言い、早くも結果を残している。プロとして評価されるのがスタッツであり、外国籍選手は日本で数字を上げてステップアップを考えているケースも少なくはない。「もちろんNBA復帰は自分にとっても大きな夢だ。でも、どこでプレーしようが、一生懸命にバスケットボールをやり続けることこそを、すごく大事にしている」とスミスは今、大阪のために全力を尽くしている。
週末に同じクラブと2連戦するようなリーグは世界を見渡しても珍しい。そこが〝タフなリーグ〟であると、外国籍選手を通じてよく耳にすることだ。2連戦した後、1日休んだとしても4日連続で練習する機会があるのも希であろう。NBAなど海外リーグと練習の違いについて聞くと、「長いなと思う時もあるよ。コーチが自分を帰らせたくないんだろうな、何か別にやらせたいことがあるんじゃないかと思っちゃう(笑)」と、これまで以上に大きなリアクションを取って笑わせてくれた。しかし、大阪での日々を過ごすにつれて、「その長さにも慣れてきたし、課された練習は必要だと一生懸命やっている」とプロとして全うしている。練習中から、元NBA選手に胸を借りながら、開幕直前に加入したジーノ・ポマーレは全力で向かってくるそうだ。「今でも日々の練習から全てがチャレンジである。プロというのは、毎試合テストされているようなものさ」と話し、向かって来る相手には100%の力で対応し、お互いに切磋琢磨していた。
トルコ以外にメキシコ、フィリピンでプレーしてきたスミスは、「その国の文化や伝統を知ることや、そこに住む人々と触れ合うことで自分の幅を広げることができた」。ここ日本でも、人として成長することに期待している。「精神的にも肉体的にも向上することは、どこでプレーしていてもやらなければいけないことだ。チームのために何をし、仲間たちを助けることを一番に考え、それを継続することでチーム全体が向上していけば、自分にとっても最終的な成長につながっていくはずだ」という考えの持ち主であり、その気概がコート上でもしっかり見られている。
「まずはチャンピオンシップに行くこと。そのためにも練習が大事であり、仲間たちと勝てるチームを作っていくためにも、最善の働きをしたい。最終的にはNBA復帰を目指している。でも、一番大事なのは今、この大阪での日々の練習や毎試合、常に集中することだ」
チームに溶け込むスミスにとって、仲間たちは日本語の先生でもある。「みんながいろいろと教えてくれるけど、まだ全然覚えられない」と言っていたが、ひとつだけ「アリガトウ」を披露してくれた。アスリートは負けず嫌いであり、その努力を惜しまないからこそ、プロの舞台で輝き続けられる。日本語習得についても同じことであり、「クリスマスまでには2〜3語は覚えられるようにするよ」とスミスは意欲を見せる。ぜひ、大阪のファンの皆さんは、きさくに話しかけていただきたい。次にスミスに会った際には、大阪弁が聞けることを楽しみにしている。
文・写真 泉誠一