日本のビッグマンには才能がある
Bリーグで戦う外国籍選手の中には知り合いも大勢いる。「たとえばスコット・モリソン(三遠ネオフェニックス)は高校のときに戦った選手だし、デクスター・ピットマン(富山グラウジース)ともNBA時代に対戦しているし、名前を挙げたらきりがない。もちろん、日本のコートでは誰にも負けたくないと思ってるよ」
対する日本のビッグマンについての印象を尋ねると、間髪入れず「才能がある選手はたくさんいる」という答えが返ってきた。中でもパワフルでスキルもあると感じているのは太田敦也(三遠ネオフェニックス)だと言う。「日本のビッグマンたちは成長する過程で自分と同じ体格の選手と戦うチャンスはそう多くなかったと思う。それが1つの壁になっていることは確かだろう。でも、彼らは頑張っているよ。太田だけじゃなくて、日本のビッグマンたちはその壁を乗り越えるために努力している。間違いなくそれは感じるね」
だからこそ日本のビッグマンに対しても全力を尽くす。「それはとてもあたりまえのこと。フィジカルとエナジー、そしてハッスルプレーが僕の持ち味だし、同時にストロングポイントだと思っている。それを存分に発揮して、チームが僕に求めること、チームのために必要なことをやり切るのが僕の仕事。相手が誰であろうとそれは同じだよ」
2年目となる渋谷には昨シーズン以上の手応えを感じている。「このチームの選手たちは能力が高く、それぞれ非常にいいものを持っている。その一員としてプレーするのは楽しみなこと、昨シーズン以上に楽しみだね」。強豪揃いの東地区に移った渋谷にとって今シーズンはよりタフな戦いが続くことは間違いない。が、「ベストを尽くした先に答えはある」。激戦区を勝ち抜く自信は?の問いには、「もちろんあるよ!」と、ひときわ大きな声で答えた。
ここがホーム、チームメイトはファミリー
日本での生活は「快適だ」と言う。「住んでいる柏もホームとなる渋谷も大好きだ。ファンはもちろん、出会う人たちはみんなやさしい。何の問題もないよ」。好きな日本の食べ物はうどん、寿司、鰻、しゃぶしゃぶ、「それとココイチ(カレーハウスCoCo 壱番屋)のカレー!」。新加入のジョシュ・ハレルソンとブランデン・ドーソンがチームにやって来たときはすぐに声をかけ、『柏のおいしいお店』を紹介したらしい。「彼らとはとてもいいケミストリーが築けている。彼らもまたNBAを経験した選手であり、能力は申し分ないので、これからチームにいい影響を与えてくれると思う」
今年、3人目の子どもが生まれた。長男、長女、そして次男。人1倍子煩悩なパパとしては家族と離れるのは辛いことだ。「うん、家族と離れて暮らすのはやっぱり淋しいよ。でも、僕はパパとしてお金を稼がなきゃいけないから、そこは家族も理解してくれている。それにほら、ここ(サンロッカーズ渋谷)はもう僕のホームだからね。チームメイトは家族だよ。実際レオ(ベンドラメ礼生)のことは弟みたいに思っているんだ(笑)」
Bリーグが発足した年に日本にやって来て、選んだチームを『ホーム』だと思い、ともに戦う仲間を『ファミリー』だと言う。「僕はBリーグに可能性を感じているよ。まだ少し時間はかかるかもしれないけど、間違いなく発展していくリーグだと思っている。その可能性は無限大だね。だから、そのBリーグが開幕した年から日本でプレーできたのは、僕にとってすごくうれしいことなんだ」
どんな質問にもしっかり耳を傾け、終始にこやかに答えてくれたナイスガイ。渋谷の試合を観戦した際には、終了後、彼のお気に入りの日本語で声をかけてみるといい。
「サクレ、オツカレ~!」 きっととびきりの笑顔が返ってくるはずだ。
文 松原貴実
写真 安井麻実