11シーズンで4度のリーグ制覇、6回の天皇杯優勝に貢献し、シーホース三河の一時代を築いた柏木真介が、Bリーグ元年の2016-17シーズンを最後に移籍を決意する。昨シーズンは名古屋ダイヤモンドドルフィンズでプレーしたが34試合の出場に留まり、プレータイムも平均11分だった。36歳という数字だけを見れば、選手としては下り坂に入る年齢と言えよう。このまま引退に向かっていってもおかしくはない。だが、自身4チーム目となる新潟アルビレックスBBに移籍したことで、ふたたび輝きはじめた。
新潟はbjリーグ時代、まだ6チームしかなかった初年度こそ準優勝だったが、その後の最高位は4位止まり。Bリーグになった過去2シーズンは、チャンピオンシップに出場することなく早々にオフを迎えている。なかなか壁を破れない現状に対し、「過去のリーグでも優勝経験があり、我々のチームにとって必要な選手」と小菅学代表が期待して迎えたのが柏木だった。入団会見時、柏木自身も「チームを勝たせられるポイントガードだと思います」と自信に満ちたコメントを残している。
中央大学から日立サンロッカーズ(現SR渋谷)でチームメイトだった1つ上の五十嵐圭と、ふたたびコンビを組んで迎えた今シーズン。風前の灯火だったプレータイムは平均27分39秒へと大きく伸ばし、55試合先発を任される。平均得点7.8点はダバンテ・ガードナー(27.6点)、ラモント・ハミルトン(16.5点)、五十嵐圭(11.5点)に続く4番目。NBL2014-15にアイシン三河(現シーホース三河)を優勝に導いたときに匹敵する活躍だ。
柏木の安定したコントロールにより、インサイドの得点源を最大限生かすとともに、五十嵐との息の合ったコンビネーションで勝ち星を重ねていく。『勝たせられるポイントガード』は期待通り、新潟にとって初の中地区優勝とチャンピオンシップ出場に大きく貢献した。過去3シーズンで先発起用されたのはたった2試合しかなかった柏木が、新天地で息を吹き返したことはまさにベストトランスファーだった。居場所を見つけた柏木の来シーズンの活躍も楽しみである。
映像提供:バスケットLIVE
文 バスケットボールスピリッツ編集部
写真 安井麻実