── 橋本さんが考える『リーダー』とはどんな人ですか?
ひとことで言えば「この人について行こうと思わせる人」です。たとえば田臥(勇太)さんなんかはそういう人ですよね。代表合宿に初めて参加したときも僕の話をしっかり聞いてくれたし、僕だけじゃなくてみんなの話に耳を傾けて意見を聞かせてくれる。自分が田臥さんのことを語るのはおこがましいですが、なんていうか、見ていると「この人はバスケットに全てを懸けているんだな」というのが伝わってくるんですよ。プレーはもちろんですが、そういう姿勢が「この人に付いて行きたい」という思いにさせるんですね。みんなの気持ちを1つにする人だなと感じました。
── 名前に同じ『竜(龍)』が付く篠山竜青選手、小野龍猛選手についてはリーダーとしてどんな印象を持っていますか?
竜青は年齢も同じだし、いろんな場所でずっと戦ってきましたが、チームに元気を与えるすばらしいリーダーだと思っています。ただ単に元気のあるヤツじゃなくて、見ていると自分に似ているところがあるんですよね。きっと小さいことにこだわったり、チームが良くなるように1人で悩むところがあるんじゃないかな。でも、それを振り切って前に進む力がある。いろんな意味で刺激をもらえる存在です。
龍猛さんはリーダーというより、まずレベルの高いプレーに目が行きますね。あのサイズで中も外もあれだけ器用にこなす日本人選手ってなかなかいないでしょ。器用にこなすってことは普段からバスケットのことをすごく考えている証拠だし、一見クールに見えて熱いものをしっかり持っている人だと思います。だいたい名前に『竜(龍)』が付くだけで強い、勇ましいイメージがあるじゃないですか。その中でも『龍猛』ですよ。どう考えても1番強い!(笑)。
── 『橋本竜馬』という自分の名前は気に入っていますか?
昔はいやだったんですよ。聞いた人はどうしても『坂本竜馬』を連想するから、そのたびに「親が坂本竜馬のファンで…」と説明するのが面倒くさかったですね。「名前負けしてるだろ」と思われるような気もしたし(笑)。でも、今はこの名前が気に入っています。みんな1度で覚えてくれるからめちゃくちゃ得してるし、付けてくれた両親に感謝しています。
── 自分はキャプテンに向いていると思いますか?
向いているかどうかは自分ではよくわかりませんし、キャプテンとして足りない部分がまだ沢山あるのは事実ですけど、向いていてほしいなという願いはあります。僕は金丸(晃輔)や比江島(慎)みたいに点が取れるわけじゃないし、(桜木)ジェイアールみたいにパスがうまいわけじゃない。だけど、シーホースに入って6年、ポイントガードとしては柏木(真介)さんというすばらしい先輩の下でいろんなことを学び、少しずつ自分の色も出せるようになりました。この6年で成長できたという自負はあります。今は若い選手が増えたこともあり、自分がアドバイスする立場になりましたが、それぞれの性格によってアプローチの仕方を考えたり、まあ、なかなかうまくいかないこともあるんですけどね。試行錯誤しながらもみんなの力を借りて、少しでもいいキャプテンになっていければと思っています。
── 座右の銘は『前進』ですね。
『謙虚』とか『全力』とか、いろいろあって迷ったんですが、最近はやっぱり後ろを振り向かず前を見て進んでいきたいと思う気持ちが強くて『前進』にしました。どんなに小さな一歩でも前進しようとするところに成長はあると思うし、それが自分の強さになるんじゃないかと考えています。自分もチームも前進を続け、リーグのてっぺんまで上っていけるよう頑張ります。
延長戦に続く
シーホース三河 #0 橋本竜馬「あきらめないキャプテン」
文 松原貴実
写真 安井麻実