── 並里さんは高校卒業後、スラムダンク奨学生の第一期生としてアメリカに渡ったわけですが、当時からNBAを目指していたのですか?
並里 そうです。アメリカでプレーしたいという夢は早い時期からあって、ずっとNBAの試合ばかり見ていました。正直、日本のバスケよりNBAの方を先に知ったという感じですね。アメリカに行っていろいろ大変なこともあったし、どれだけ厳しい道かというのもわかっていますが、今も夢は捨てていません。チャンスがある限り挑戦し続けるつもりです。
狩野 僕が高校に入ったとき、トレーニングやストレッチや身体のケアの大切さを成さんから教わりました。成さんのすごいプレーの裏にはそういう意識の高さがあったと思います。見ていると「プロフェッショナルだなあ」と感じますね。
── では、狩野さんの夢はなんですか?
狩野 目標は?と聞かれたら「優勝すること」と答えますが、夢はもっと大きくて「一流選手になること」です。僕は野球のイチロー選手をすごくリスペクトしていて、歳を重ねても毎年記録を更新し続けるイチロー選手を見ていると、本物の一流選手はこういう人のことを言うのだなあと思うんですね。だから自分も歳を重ねるごとに進化していけるような一流選手になりたいです。
── では、お2人に聞きますが『エース』という言葉からどんな選手をイメージしますか?
並里 記録よりも記憶に残る選手ですね。その日の得点が2点でも4点でもいいんです。ここ1本をきっちり決める選手がエース。
狩野 僕も同じですね。毎試合30点、40点取ってMVPになる人は確かにすごい選手でしょうが、それよりも成さんが今言ったみたいにここ1本を必ず決め切る選手、泥臭いプレーも献身的にこなして背中で引っ張ることができる選手がエースだと思います。
並里 うちのチームで言えばこいつでしょう。
狩野 えっ、僕ですか?
並里 そう、おまえだろ。誰よりもまじめに練習してみんなの見本になっているし、しっかり結果も残しているし。もし、勝負どころで誰かにパスを出すとしたら、俺は迷わずおまえに出すよ。もし、近くにジュリアンしかいなかったら自分で打つ(笑)
── 狩野さんは自分がエースだという自覚はありますか?
並里 ないと困ります。
狩野 もちろん、なりたいという気持ちはありますが、まだ自分から「俺がエースだ」とは言えません。
並里 おまえはそう言ってるけど、周りはおまえがエースだと認識してるよ。コーチも信頼しているし、大事な場面でシュートを託せる選手だと思ってる。司令塔の俺が言うんだから、おまえも胸を張って「俺がエースです」と言ってくれ(笑)
── リーグもいよいよ後半戦に入りますが、それぞれ意気込みを聞かせてください。
並里 さっきも言ったように、このチームには元気があるメンバーが揃っているしバランスもいいと思っています。途中から入った自分は、これからもっとみんなに合わせて、それぞれのいいところを引き出していけるようになりたいですね。
狩野 うちはサイズがない分ミスマッチができるので、ディフェンスもみんなで助け合って、リバウンドを取ったらみんなで走って、みんなで攻めるチームです。そういうバスケットが僕は好きだし、自分に合っていると思っています。その中で自分の仕事はやっぱりシュート。もっともっと貢献できるように頑張りたいです。
並里 今の勝率は低いですけど、気がついたら真ん中ぐらいにいて、終盤は上のチームと争っているぐらいになると信じています。そのつもりで戦っていきます。どこより足を動かして、アグレッシブなバスケットを見せますよ。
狩野 あとは上を目指すだけ。
並里 そう、力を合わせてあとは上っていくだけです。
文 松原貴実
写真 バスケットボールスピリッツ編集部