※本記事はバスケットボールスピリッツのWEB化に伴う、2018年7月末発行vol.23からの転載
この賞は「オーバー35」、つまり35歳以上を対象に、強靭な身体とタフなメンタルを持つと認められた選手に贈られるもの。2年目のB.LEAGUEで、60試合中すべての試合にスタメン出場を果たしたのは5人。アレックス・カーク(アルバルク東京)、五十嵐圭(新潟アルビレックスBB)、岸本隆一(琉球ゴールデンキングス)、岡田優介(京都ハンナリーズ)、田臥勇太(栃木ブレックス)である。初年度が12人だったことを考えると、彼らのタフネスぶりは称賛に値する。大きなケガをすることなく、強い心身と高いスキルを維持しつづけ、さらにヘッドコーチやチームメイトからの信頼が厚いこともわかる。そのタフさをねぎらいつつ、シーズンオフにはしっかりと心身のケアを施して、来シーズンも高いパフォーマンスを見せてほしいと思う。
上記5人のうちカークと岸本はまだ20代で、岡田は唯一2016-17シーズンも全試合スタメン出場を果たすなどのアイアンマンぶりだが、彼も年齢が33歳(2018年6月現在)とあと一歩及ばず(?)、選外とさせていただいた。
これで賞の行方は五十嵐と田臥に絞られた。ともに1980年生まれの37歳。いわゆる「アラフォー」である。Bリーグには「アラフィフ」もいるので、北方の彼からするとアラフォーも「若造」となるのかもしれないが、弊誌的には疲れが取り除きにくくなるアラフォーでここまで活躍し続けられるのは本当にタフなことだと改めて感心する。ぜひ心身のケアについて、弊誌でインタビューをさせてください。
話が脱線したが、結論を言えば弊誌の選ぶ2017-18シーズンの「アイアンマン賞」は――五十嵐圭に決定!田臥とは甲乙がつけがたかった。田臥は前年度も60試合中59試合に出場し、うちすべてがスタメン出場。五十嵐のそれは58試合。今年の60試合を合わせても、出場試合数だけでいえば田臥のほうが1試合だけ多いことになる。
しかし五十嵐は2017-18シーズン、全試合にスタメン出場しながら、個人スタッツも前年からアップさせている。得点はほぼ同じ(平均10・5点→10・6点)だが、アシストは増やしている(平均3.4本→5.6本)。むろんアシストはチームメイトの正確なフィニッシュがあってこそだが(新潟には得点王のダバンテ・ガードナーがいる!)、それでも視野を広く保ち、正確なパスを送ったのは他ならぬ五十嵐だ。逆に田臥は得点、アシストともに前年を下回っている。最終的な選考の差はそこに出た。
五十嵐の受賞については、選考者の1人が「正直、五十嵐には感心しました。昔はあまり評価していなかったのだけど、こんなこともできるのかと思った。きれいな奥さんの賜物かな(笑)」と言っていたのが印象的だった。
五十嵐ももはやビジュアル先行のイケメンBリーガーではない。同じアラフォーとして来シーズンのさらなるステップアップを期待する!
文 三上太
写真 安井麻実