TGI D-RISEで夢に近づく足がかりができた。トップチームには田臥がおり、憧れていた存在がすぐそばにいる。そのチャンスを逃すまいと積極的にアドバイスをもらいにいくと、「お前みたいなヤツは珍しい」と心を開いてくれた。師弟関係は今も変わらず続いている。プロとして大切なことを、田臥は包み隠さず教えてくれた。
「何よりも一番勉強しているのを間近で見てきました。一番トップの選手がこれだけ努力しているのだから、僕が勉強しないのはおかしいというプロ意識をすごく教えてくれました。僕みたいな選手にも親身になって教えてくれる人間性も素晴らしいです。懐の大きさをすごく感じています。本当に僕は幸せものだと思っています。だからこそ結果を出さなければいけない。ビーコルで3年目なので、強い覚悟を持って今シーズンは戦っています」
Bリーグ誕生とともに横浜に移籍し、開幕直後に39点を挙げて一躍注目され、「あの試合をきっかけに一気に成長することができました」。2シーズン連続下位争いに甘んじているが、それでも昨シーズンの残留プレーオフで「しっかりコントロールして富山に勝つ試合ができたことは自信になっています」とポイントガードとしての成長を感じられている。トーマス・ウィスマンヘッドコーチ体制となった今シーズン、かつて栃木を2度優勝させたときのイメージをつかむために、当時の映像を何度も見て細谷は研究している。エースの川村卓也を中心に、「カチッとハマれば強いチームなのは昨シーズンから分かっていることです」と簡単に負けるようなチームではない。
「トムが何を求めているかをポイントガードの僕が一番理解しなければいけない。1日でも早くトムが求めるレベルに僕が追いつき、みんなが追いつこうと努力していけば、必ずたどり着けると思っています。そこから一気にスイッチが入るという期待感があります。それを1日でも早められるように、練習からコミュニケーションを取ることが今の課題です。でも、楽しみですよ」
プロになる夢に対し、「小さいからお前は無理だ」という心ない言葉を言われることも少なくはなかった。しかし、夢や目標は自分自身の道標であり、他人には関係ない。 「僕はD-RISEの練習生からスタートし、あのときに厳しい現実を見せつけられました。それでも高い目標を持って諦めずに努力していけば、必ずチャンスが来ます。それをつかむかどうかは自分次第であり、まずは諦めないこと。夢を叶えるためにも、諦めないことが一番大事だと思って努力してきました。小さくても自分のことを信じて、夢に向かって突き進んで欲しいです」
文 バスケットボールスピリッツ編集部
写真 吉田宗彦