東地区1位の栃木ブレックスを相手に、敵地で連勝を飾った千葉ジェッツは、目下6連勝中と上昇気流に乗っている。栃木にとってはレギュラーシーズンのホームゲーム最終戦となった4月30日は、史上最高入場者数となる4058人を集めた。東地区優勝までマジック1の栃木であり、多くのファンの前で決めたい大一番でもあった。しかし、3Pシュート15本を沈めた千葉に阻止され、東地区優勝は次戦に持ち越されてしまった。
前日の7本より、倍以上の3Pシュートを決めたこの試合について、千葉の大野篤史ヘッドコーチは「栃木のマンツーからゾーンに変わるディフェンスにうまく対応でき、インサイドに人が集まったところで、アウトサイドにノーマークができた」とその要因を挙げる。
トランジションから3Pシュートを決めるのが千葉の武器
弊誌今月号の特集は「3ポイントシュート」。そのランキングで首位争いにいるのが千葉の石井講祐選手である。しかし、ここ2試合は3Pシュートを打つことがなかった。「あえてそうしているわけではなかったですし、マークされていたということもあると思います」と振り返る。その間に、ランキングは2位に後退。迎えた昨日の栃木戦では3本全てを決めたことで成功率が42.8%に上昇し、再び首位に返り咲く。「今日はトランジションの中でうまくスペースが空いたので、そこを狙って決められたのは良かったです」と、序盤から積極的に3Pシュートを決めていった。
千葉の3Pシュート成功数は36.1%。Bリーグ4位の確率だが、成功本数550本は断トツで多い。成功率1位の三河は37.5%だが、成功本数は379本。成功本数で比較した2番目に多い名古屋ダイヤモンドドルフィンズでも465本であり、その差は85本と大きく差が開いている。
「トランジションから3Pシュートを決めるのが千葉の武器でもあります。僕だけではなく、原(修太)やタイラー(ストーン)、(小野)龍猛、富樫(勇樹)と全員が3Pシュートを打てるので、そこは強みとして狙っていきたいです。それに加えてヒルトン(アームストロング)のインサイドもあり、バランス良く攻めることができれば点数もどんどん伸びていくと思っています」
栃木戦では第2クォーターだけで3本の3Pシュートを決めた原選手が勢いをもたらせた。最終クォーター、栃木のベンチメンバーがハッスルして猛追する中、その大声援を黙らせたのは富樫勇樹の2本の3Pシュートであった。大野ヘッドコーチが要因に挙げたように、インサイドアウトから気持ちよくストーン選手が5本の3Pシュートを決めている。
タフなゲームを勝利し、自信に変えて狙うは東地区2位通過
4月に行われた10試合のうち、栃木とは4試合を戦い3勝1敗。東地区2位のアルバルク東京にも2連勝を挙げた。シーズンは大詰めを迎えていながら、上位クラブとのタフなゲームが続いている。蓄積される疲労もあるが、それ以上に「自信になる方が今の千葉にとっては大きいです。どんどん良くなっている過程なので、強いチームと数多く戦うことができ、その中でも勝ち切れている経験がプラスの方向に働いていると思います」。勢いそのままに「狙うは2位」と意気込んでいる。
5月3日はレギュラーシーズンホーム最終戦を迎える千葉にとっても、大きなチャレンジが待っている。最終戦の船橋アリーナには7000人突破を目指しており、観客動員数新記録を狙う。2位A東京との差はたった1ゲーム。直接対決は残っていないが、秋田そして北海道との残る3戦を勝ちきることが最低条件でもある。逆転2位でシーズンを終えることができれば、ホーム開催が待っており、さらなる観客動員数記録更新を目指すためにも負けられない。
現在配布中の弊誌にも石井選手は登場しており、3Pシュートについて説明してくれている。そちらもぜひ手に取っていただきたい。
文・写真 泉 誠一