昨シーズンの関東大学リーグ戦で日本大学を5年ぶりに1部へと昇格させた立役者であり、4年生となったラストシーズンは最高の舞台でその力を発揮した仁平 拓海選手が、特別指定選手として群馬クレインサンダーズにやってきた。
デビュー戦となった2月24日、1クォーター終盤から2クォーターにかけて約3分間の出場を果たす。その東京エクセレンス戦は76-78で惜敗。デビュー戦を飾ることはできず、仁平選手のスタッツは全て「0」のままで終わってしまった。
翌日、平岡 富士貴ヘッドコーチは思い切った行動に出る。合流したばかりの仁平選手をスタメンに起用。前日同様に緊迫した試合となる中、81-80で勝ち切った。仁平選手は約18分間出場し、2得点・3リバウンド・1アシスト。2戦目はスタッツにしっかりと数字を刻んだ。その後もスタメンで起用され続けている。
寛大な心でコートに送り出す平岡ヘッドコーチは、仁平選手を以下のように評価する。
「フィジカルが強く、ミドルシュートが非常に得意な選手です。まだまだゲームの中では出せていないですが、身体能力も高い。全てを許すわけではないですが、プロとして少しずつ経験を積ませながら、今持っているものを最大限出してくれれば良いという気持ちで現状はいます」
日本大学の1つ上の先輩である栗原 奨太選手が、東京EXに接戦で敗れた試合までは先発を務めていた。あえて平岡ヘッドコーチは若い2人を競争させながら、レベルアップを図っている。
先日の西宮ストークス戦で快勝し、キャリアハイとなる9得点を挙げた後、プロとなった現在の心境を伺ってきた。
ーースタメンで起用される中、プレーへの手応えはどのように感じられていますか?
今現在、期待に応えられているかどうかは正直言って分からないですが、自分のやれることを精一杯やっていきたいです。
ーー昨日(3月11日)敗れた(群馬●71-74西宮)反省点を踏まえ、今日の試合(群馬〇92-81西宮)へ向けて、どのような修正をして臨んだのでしょうか?
昨日よりもエネルギーを持って戦おうと思って、試合に入りました。ディフェンスに戻る時も、ハッスルバックするなどを意識していました。
ーー今日は9点を挙げ、オフェンスの面では通用する部分もあるのでは?
(チームメイトに)ノーマークを作っていただいたら、ジャンプシュートを決めることはできています。でも、自分からインサイドに切れ込んでいくドライブや3Pシュートはまだまだ足りない部分もあるので、練習から課題として取り組んでいます。
ーー1クォーターにプレーがうまく合わず、アブドゥーラ・クウソー選手に指摘されていましたが?
あそこはですね、パスミスです。僕の判断ミスでパスカットされてしまったのですが、丁寧さや正確なプレーをするようにクウソー選手から「しっかりしろよ」という意味を込めて頭を叩かれました。
ーーディフェンス面ではどうでしょうか?
まだ相手がどういった選手かを頭に入れて守ることができていなくて、相手がシューターなのにマークを離してしまうなど冷静に対処できていないことが多いです。そういったところを今後の課題としていきたいです。
ーープロの舞台は慣れましたか?
だいぶ緊張しないようになってきたとは思いますが、まだまだ力が及ばない部分も多々あるので、もっと自分を成長させていきたいです。
ーー仁平選手にとってのプロ意識とは?
考え方の部分ですかね。
囲み取材の様子を見ていた藤原隆充選手からツッコミが入る「素足でサンダル履いて記者会見に出てる時点でプロとして失格だよ!」
アイシングしているんですよ。
藤原選手「言い訳するのもプロとして失格だよ!(笑)」
すいません。
ーー先輩からいろいろ教わってるところですね。
そうですね。藤原さんや根東(裕隆)さん、小淵(雅)さんにはいつもいろいろとアドバイスをいただいているので、それを自分の力に変えて生かしていきたいと思っています。
一つひとつ丁寧に、初々しく答えてくれた仁平選手。次戦は、東地区2位の福島ファイヤーボンズとの頂上決戦が待っている。「自分のやるべきことをしっかりやって、平岡さんが求めるバスケットをしっかりと表現してきたいです」と抱負を語った。
平岡ヘッドコーチも、「福島ともこれが最後の戦いになります。なんとか2つ勝って、1位をキープしながらシーズンの最後まで気を緩めずに戦っていきたいです」と気合いを入れ、ホームでの連勝を狙う。
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文/写真・泉 誠一