渡邉飛勇(琉球ゴールデンキングス)
2月5日、ホームで迎えた富山グラウジーズ戦1Q残り3分11秒、1年5カ月ぶりにコートに立った渡邉飛勇はかつてないほどの大声援に包まれた。昨季の開幕前に負った右肘骨折の大ケガで手術すること3回、アメリカでの長いリハビリ生活を経てようやく叶えたBリーグのデビュー戦だった。「おかえり~!」の声の中、12分16秒のプレータイムを得た渡邉は7得点、6リバウンド、1ブロックの活躍で期待に応える。その後のシーズンは20試合出場して平均プレータイム6.14、平均得点2.4、平均リバウンド2.4、ブロックショット6本のスタッツを残したが、207cmの渡邉がゴール下で見せたパワフルでしなやかなジャンプは数字以上の勢いをチームにもたらしたような気がする。5試合出場したチャンピオンシップでも限られた時間の中で与えられた役割をしっかり遂行して悲願の初優勝に貢献した。
優れた身体能力に加え、プレーの端々に感じられるバスケIQの高さも武器の1つ。本人が好きだと言う『フックシュート、ポストムーブ』のスキルアップも含め、今後どこまで伸びていくのか、いずれにせよ、そののびしろが超ド級であることは間違いない。
赤穂雷太(横浜ビー・コルセアーズ)
今シーズン中地区2位をマークし、初めて進出したチャンピオンシップでセミファイナルまで駒を進めた横浜ビー・コルセアーズ。千葉ジェッツから移籍加入した赤穂がその躍進に一役買ったのは間違いないだろう。196cmのサイズと機動力を兼ね備えた若手屈指のオールラウンダー。青木勇人HCは「常に満足しない選手」と赤穂を評するが、それはすなわち赤穂が「常に向上心を忘れない選手」ということだ。
55試合(内33試合が先発)出場したレギュラーシーズンで印象に残ったのは、状況によって屈強な外国籍選手からスピードが身上のガードまでマッチアップできるディフェンスのスキルと熱量だ。それもそのはず、普段から “泥臭いプレー” を身上とし、「中でもプライドを持っているのはディフェンス」だと言う。一方、オフェンスに関しては「まだまだ課題が多い」と笑うが、川崎ブレイブサンダースと対戦したチャンピオンシップ、クォーターファイナル第1戦で沈めた3/5の3ポイントシュートは決してフロックではないはず。来シーズン移籍が決まった秋田ノーザンハピネッツにおいても持ち前の向上心を発揮し、 “若手屈指の” から “日本屈指の” オールラウンダーへの階段を着実に上ってほしい。
文 松原貴実
写真 B.LEAGUE
「Basketball Spirits AWARD(BBS AWARD)」は、対象シーズンのバスケットボールシーンを振り返り、バスケットボールスピリッツ編集部とライター陣がまったくの私見と独断、その場のノリと勢いで選出し、表彰しています。選出に当たっては「受賞者が他部門と被らない」ことがルール。できるだけたくさんの選手を表彰してあげたいからなのですが、まあガチガチの賞ではないので肩の力を抜いて「今年、この選手は輝いてたよね」くらいの気持ちで見守ってください。
※選手・関係者の所属は2022-23シーズンに準ずる。