毎年同じことを言っているようで恐縮だが、BBS AWARDにおいて『NEXT MIP』を選ぶのは実に難しい。基本となるのはもちろんシーズンの活躍度だが、NEXTというからには今後への期待も加味することとなり、『推したい選手』の数が一気に増えるのだ。そんなわけで今年もさまざまな意見が飛び交う中、最終的に栄えある受賞者は以下の5人に決定した。
坂本聖芽(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)
5人の中で1番最初に名前が挙がり満場一致で選ばれたのは坂本聖芽だ。2年前のインカレで右足の指を骨折し、手術とリハビリからスタートするルーキーシーズンとなったが、今季はその無念さを晴らすがごとく力強いパフォーマンスで存在感を示した。キレのあるドライブ、引き付けてからの絶妙なパス、相手の足を止める執拗なディフェンスなど、攻守に渡るアグレッシブなプレーが持ち味。中でもボールを手にした瞬間からゴールに向かう “初走” のスピードは大きな魅力と言えるだろう。誰が付けたか『名古屋のスピードスター』も納得の呼び名と言える。ケガ人に苦しんだ今シーズンの名古屋D。齋藤拓実、伊藤達哉という先輩ガードが万全ではない状況の中、終始貫いた強気の姿勢は来季につながる財産になったはずだ。
蛇足ながら坂本はもう一つ『ジェリー』という異名があるらしい。聞けばその由来は彼が得意とするジェリーレイアップ(指先でボールを回転させながら決めるレイアップ)からきているとか。『名古屋のスピードスター』でも『ジェリー』でも呼び方はお任せするが、来季はジェリー・坂本のレイアップにもぜひ注目していただきたい。
川真田紘也(滋賀レイクス)
204cm、110kgの体躯に秘めたポテンシャルの高さが評価され、坂本と同様満票で選出されたのが川真田だ。59試合(内先発は9試合)出場した今シーズンはゴール下で身体を張り119本のリバウンド(平均2.0)と33本のブロックショットをマーク。2月の三遠ネオフェニックス戦では連日豪快なダンクを披露し “進化する川真田” を印象付けた。また、2020年に初の候補選手となった日本代表では念願叶い2月のワールドカップアジア予選で試合デビュー。オフェンスリバウンドでもぎ取ったボールをそのままリングにねじ込む力強いプレーで次代のビッグマンぶりをアピールした。
その魅力はコート内にとどまらず、ボケもツッコミも自在にこなす明るい性格は滋賀の愛されキャラとして「マイキー」の呼び名で親しまれている。鮮やかに染め上げたトレードマークの青髪(※現在は金髪チョンマゲヘアに変身)も「チームを盛り上げるためなら何でもやりたい」という心意気の表れだろう。
24チーム中23位の成績でシーズンを終えた滋賀は無念のB2降格となったが、3年目の継続を表明した川真田に希望を託したファンは多いはずだ。『最短昇格』の旗印の下、B2のコートで大暴れする青髪マイキー(今は金髪チョンマゲだけど)をみんなが待っている。
小川麻斗(千葉ジェッツ)
特別指定選手としてライジングゼフォー福岡、サンロッカーズ渋谷で経験を積み、日本体育大学バスケットボール部を退部して千葉ジェッツ入りした小川麻斗も今シーズン注目を集めた選手の1人だ。今をときめくバスケ界のニュースター河村勇輝(横浜ビー・コルセアーズ)の相棒として福岡第一高校をウインターカップ2連覇に導いたのは誰もが知るところ。21歳にして漂う “物怖じしない雰囲気” はその経験値によるものかもしれない。2番でスタメンに抜擢された4月1日の琉球ゴールデンキングス戦では4本放った3ポイントシュートを全て沈めて会場を沸かせた。
活躍する河村について聞かれると「正直、嫉妬というか悔しい気持ちはあります」と、見せた笑顔も好感度大。そう、この負けん気!それこそが小川をさらなる高みへ連れて行くエンジンになるはずだ。エースガードの富樫勇樹、ベテランガードの西村文男に加え、ケガから復帰する大倉颯太もコートに上がる来シーズン、小川が見せる2年目の負けじ魂に期待したい。