琉球ゴールデンキングスの石崎巧選手(当時)から「コラムを書いてみたいんですけど」と相談された日のことは今でも覚えている。が、思い出したくない。てか、できることなら記憶から抹消してしまいたい。
「書きたいテーマは決まっているの?」
「自分の色を出すことは大事だけど、独りよがりになってはだめだよ」
「もし連載を目指すならそれ相応の引き出しも必要だし」
「文章を書くのは山登りに似てるからね」
「登山ルートを間違えたと思ったら引き返す勇気を忘れないこと」
「まあ、書きたい気持ちがあるならとにかく書いてみたらいいじゃん」
うわっ、うわっ、うわっああああ~!
たしかに言ったよ。言ったと思う。言った気がする。言ったかも。
うわっ、うわっ、うわっああああ~!
3回ぐらいバク転したい!(できないけど)
送られてきた最初のコラムを読んだとき「この人は書ける人だ」と確信し、それ以後はただただ驚嘆するばかり。独りよがりってなんのこと?登山ルートがどうしたって?思い出すたび全身が “恥” の一文字で埋め尽くされる。だいたいあんなにいっぱい引き出し持ってるなら最初に言ってくれよ!
2年続いたコラムの原稿は毎回バスケットボールスピリッツ編集部と3人のライターで校正することになっていたが、いつの間にか全員が “ただの読者” と成り下がり、さく裂する石崎節をめいっぱい楽しんでいた。いやぁおもしろかった!
毎月心待ちにしていたコラムが終わってしまうのはすごく寂しいけど、どうかこれからもコツコツ書き続けてください。もう『選手』じゃなくなった『石崎先生』が描く世界にはどんな景色が現れるのか、それを見る日を楽しみにしています。最後になりましたが、BBS AWARD スピリッツWEBコラム大賞、栄えある2年連続の受賞を心よりお祝い申し上げます。
文 松原貴実