今年のBBS AWARDは日本人選手プラス帰化選手から選出したベスト5、外国籍選手のみにフォーカスした世界選抜ベスト5の2つに分けて選考を行った。
〈富樫勇樹(千葉ジェッツ)〉
日本人選手プラス帰化選手のバックコート陣で異論なく決まったのは千葉ジェッツの富樫勇樹だ。スピード、テクニックともに日本を代表するポイントガードとして知られるが、キャプテンとなった今シーズンは今までに増して『周りを生かす意識』が高まった感があった。それは単にコート上のプレーだけではなく、ベンチからの声かけや若手選手へのアドバイス、ときに見せる厳しい表情にも表れていたように思う。リーグ終盤コロナ禍で試合が中断した千葉は、再開後週3試合のハードスケジュールを余儀なくされたが、「自分はこれぐらいの(スケジュールの)方が好き」と笑って言ってのける富樫のメンタリティがチームを救うことも多かったのではないか。初のリーグ制覇を成し遂げた千葉には “頼もしいリーダー” の存在があった。
〈ベンドラメ礼生(サンロッカーズ渋谷)〉
バックコート陣の2人目は藤井祐眞(川崎ブレイブサンダース)、鵤誠司(宇都宮ブレックス)などの名前も挙がる中「60試合すべてに先発出場し、キャプテンとして心技でチームを支えた」ベンドラメ礼生(サンロッカーズ渋谷)の選出が決まった。東地区3位と好調をキープしていた渋谷に暗雲が立ち込めたのは大黒柱ライアン・ケリーのケガ。続いてジェームズ・マイケル・マカドゥのケガも重なり一気に連敗の沼に沈むことになる。ケリーの復帰で再び立ち直ったチームはチャンピオンシップ最後の一枠を勝ち取ったが、改めて振り返れば山あり谷ありのシーズンを常に熱量あふれるプレーで引っ張ったベンドラメの功績は大きかったと言えるだろう。CSクォーターファイナルで宇都宮に2連敗したものの「最後まで渋谷らしい戦いを貫けたと思う」と語ったベンドラメの言葉は果敢に敵陣に切り込むキャプテンの姿と重なるものだった。
〈金丸晃輔(シーホース三河)〉
MVP候補にもなった金丸の選出は満場一致で決まった。誰もが認める日本を代表するシューター。「落とさない人」の異名から受験生のお守りになったという逸話は真偽に関わらず金丸の力量を示すものであるのは確かだ。今シーズンは3ポイント成功率1位を狩野祐介(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ、47.5%)、フリースロー成功率1位を古川孝敏(秋田ノーザンハピネッツ、91.0%)に譲ったが、それぞれ2位に付けた3ポイント46.6%、フリースロー90.7%の数字は堂々誇れるものと言える。また、今シーズンは3ポイントを打つ本数を増やすことを自分の課題としてコートに立ち「その課題をクリアできたことはよかった」と笑顔を見せ「自分としては納得したパフォーマンスができたシーズンだったと思います」と胸を張った。以前、宇都宮ブレックスのジェフ・ギブスが警戒する選手の1人として金丸の名前を挙げ「彼にフリーで打たせたら自動的にスコアされたのと同じ」と語っていたのが、対戦するチームにとってそれほど脅威でやっかいな存在だということだろう。当然のごとく敵はこれからもさまざまな手を使い “金丸封じ” を講じてくるはず。「来シーズンはまた新たな目標を定める」と言う金丸が執拗なディフェンスをどうかわしていくのか。進化するスコアマシーンの今後に期待したい。