MIPとは“Most Improved Player”の略で『もっとも成長した選手』の意味であり、今回のスピリッツAWARDでは田口成浩(千葉ジェッツ)が選出された。ここで取り上げるのは“Most”の選には漏れたが、さらなる活躍が楽しみになった選手たち。言わば来シーズンに向けてのエールを込めた『NEXT MIP』である。
1人目は宇都宮ブレックスに入団して鮮烈なプロデビューを飾ったテーブス海。東洋大学京北高校2年のときにアメリカに渡り、ノースカロライナ大学ウィルミントン校1年次にはアシストでNCAA2位(平均7.7本)にランクインし一躍注目を集めた。が、3年目のシーズンを終えた後、彼が選んだのは日本でプレーする道。1月15日のサンロッカーズ渋谷戦でBリーグデビューを果たすと、今シーズンは12試合に出場しフィールドゴール成功率50.9%、平均得点5.8、アシスト1.8の数字を残した。目を引くのは卓越したパスセンスと物怖じしないメンタル。久々に現れた正統派大型(188cm)ポイントガードとしてさらなる成長に期待がかかる。
ジョージア工科大学を休学し、アメリカから日本へUターンしたのはシェーファーアヴィ幸樹も同じ。今シーズンはアルバルク東京から滋賀レイクスターズにレンタル移籍したことで活躍の場を大きく広げた。バスケットキャリアこそ6年と短いが、205cm、106kgの強いフィジカルを生かしたリバウンドを武器とし、昨年は日本代表メンバーとしてワールドカップの舞台も踏んだ。「自分はまだ足りないものばかりなので、できることを1つずつ確実に増やしていきたい」という前向きな姿勢を含め、伸びしろの大きさは誰もが認めるところだろう。
また、若手から中堅にさしかかる28歳の野本建吾(秋田ノーザンハピネッツ)も今シーズンチームを支えるプレーが光った1人だ。200cmの高さと機動力を兼ね備えた逸材として北陸高校→青山学院大→東芝と名門の道を歩き寄せられる期待も大きかったが、それに応えられないことに悩む時期もあったという。自分の方向性を見出し、意識が変わったのは2年前に秋田に移籍してから。3番から5番までこなせる利点を生かし、頼れる繋ぎ役として存在感を発揮するようになった。プレータイムこそ目立って多くはないが、今シーズンも41試合に出場し地道なプレーで貢献。ここからさらに上を目指す姿を来季のコートで見てみたいと思う。
文 松原貴実
写真 B.LEAGUE、泉誠一