対戦相手よりも激しい中村和雄のプレッシャーの中で成長を実感する大塚
39分間のうち20分間をコートに立っていた大塚。しかしその間、1点も決められずにいた。中村HCは大塚を先発で起用し、最後の大事な場面でもコートに立たせ続けた。そして最後の1分で、チームの勝利を呼び込む値千金の3Pシュートを決めて見せた。
東海大学を卒業した2010年、当時JBL2のTGI・Dライズで2シーズンプレイし、リーグ2位の3Pシュート成功率を記録。昨シーズンはドラフト1巡目で宮崎シャイニングサンズに移籍。平均32分のプレイタイムを与えられ平均12.6点。2013年4月6日の大分ヒートデビルズ戦では31点をマーク。得点力ある大塚の実績に対し、中村HCの評価は違う。
「プレッシャーがある中で、これまでバスケットをやってきていない。バスケットを始めて、初めて勝たなければいけないところにいる。大塚自身、大丈夫だと思っているかもしれないけど、まだまだ通過点。僕のプレッシャーは半年くらいでは解けないし、過去を振り返っても全てのプレイヤーが半年から1年は成長するのに時間はかかっている。大塚にも1年はかかるぞ、とすでに言ってある。まずは僕のプレッシャーに勝たなければいけない。それだけ期待してますし、楽に成長させようとも思っていないですよ。よく褒めて伸ばすとか言うけど、プロはそんな甘いレベルじゃない。もうちょっと勝ち進んでいくためにも、厳しい精神状態でシュートを決めきって欲しい。それが入るようになることが、一人前になるということです」
期待が高いからこそ、求められるレベルも自ずと高くなる。
「正直言って、昨シーズンの宮崎は勝敗にこだわっていないというか、バラバラな状態で秋田とは全然違うチーム環境でした。本当の意味でのチームに入った今は、緊張感を持ってプレイすることに慣れない部分もありますが、日々成長させてもらっている環境にいることを実感しています。今日の試合で最後に決められたこと、そして最後までコーチが信頼して試合に出してくれたこと、それを自信に持ってこれからも自分のやるべきことを突き詰めていきたいです」大塚に求められる仕事を果たしたのは、この日のゲーム中で1分だけだったとも言える。しかし、この1分が大塚を一回り大きくさせた気がしてならない。
「あの場面で富樫も大塚も決められるんだから、資質はある。臆せずにやることも大事だが、そのためにも練習が大事。一生懸命練習をしてきた裏付けがあるからこそ、勝負どころでも決められたわけだ」
期待を寄せる二人の若者たちが、最後の最後に活躍したことを話し終えると、中村HCはようやく一息ついた。
秋田という成長できるチームに移籍してきた大塚がやるべきこととは?
「チームのため、秋田県のため、という気持ちが強い。だからこそ、少し力んでいる部分があるのかもしれません。スタートで出していただいているので、シーズンの早い段階でしっかり自分の役割が安定して出せるように1試合1試合、成長して行きたいです」
大塚の3Pシュートの確率は、8/39本で20.5%。
怒れる指揮官は、「血ヘドを吐くくらいシュート練習をして次の試合に臨みたい」と不気味な笑みを浮かべた。さて、再びホームに戻る今週末(10月26日-27日)、今シーズン好調な信州ブレイブウォリアーズを迎え、秋田県立体育館で開幕連勝新記録となる7連勝を賭けた一戦が待っている。血ヘドを吐くほどしごかれた成果はいかに!? 3Pシュート成功率をチェックだピョン♪
bjリーグ
秋田ノーザンハピネッツ
文・泉 誠一