「彼は練習からハードにやっているし、対戦相手の分析も全部してくれている。自分たちがこうして賞を獲りましたが、やっていることは彼の分析に従って自分の仕事をすることだけだったので、賞を獲れたのは彼のおかげです」(デムサー)
「日本の中では間違いなくベストプレーヤーだし、世界でもベストの中の1人だと自信を持って言えます。彼がやっていることは全てチームの助けになっているし、何より、彼が決断したことは間違いない。僕たちはその通りにプレーしているだけです」(ギリガン)
「10年以上3×3でプレーされていて、その経験をチームに落とし込んでくれてるので、落合さんがいることでアルファーズの土台がしっかりしている、その上で僕たちがのびのびプレーできてることがこのチームの良さだと思います。落合さんがこれまでの経験を僕たちに教えてくれていることが一番大きいです」(小澤)
これを横で聞いていた落合は「気持ちいいです、ただただ褒められただけなので(笑)」と冗談めかしつつ、「ファイナルは彼らがやってくれると思ってました。今大会を通じて全員が役割を全うできたし、この大舞台を楽しんでくれたと思うので、本当に最高の日になったなと思います」と3人を称えた。互いの信頼関係もまた、落合がチームのために日々取り組む姿から生まれているのだろう。
落合が5人制でも2022-23シーズンの途中までプレーしていたことは、忘れるわけにはいかない。ALPHAS.EXE自体、創設当初は越谷アルファーズと同じ組織で運営され、落合はその両輪で活動していたが、2大会連続の五輪出場に全力投球するために、5人制のチームでは練習生に立場を変え、その後5人制と切り離されて独立したALPHAS.EXEの代表に就いたという経緯がある。栃木(現・宇都宮)ブレックスでの2シーズンを挟んではいるが、大塚商会時代の越谷を知る貴重な1人であり、安齋竜三ヘッドコーチのコーチングもよく知る落合は、クラブがB1昇格を果たしたことに興奮を覚えたという。
「ちょうどその日は僕も試合中だったので後から映像を見たんですが、めちゃめちゃテンション上がりましたね。勝てると思ってなかったというか、下馬評でいえば難しいのかなというのはあったので、勝ってくれたのはすごく刺激になりました。去年はチームメートがこのプレーオフを見に来てくれたし、思い入れも強いメンバーです。やっぱり、長い時間を一緒に過ごした仲間は特別。彼らから刺激を受けて頑張ろうというのは間違いないですね。B1昇格って簡単なことじゃないし、普段から竜三さんの元で厳しいことをやってるのも知ってたので、ああやって仲間が報われたのは僕も嬉しかったです」
ALPHAS.EXEを3×3.EXE PREMIER連覇に導いた落合は、その安堵感に浸る間もなく、今またコートに立っている。ハーフコートではなく、一旦離れたオールコートにである。
後編へ続く
文・写真 吉川哲彦