2季ぶりのNBL優勝を狙う東芝ブレイブサンダース神奈川が、リーグ戦終盤に入り、調子を上げてきた。3月26日、27日にアイシンシーホース三河にアウェーで連勝したのを皮切り、7連勝をマーク。順位を争う日立サンロッカーズ東京やアイシン三河が敗れたこともあり、5位から3位に浮上し、プレーオフ1stラウンドの本拠地で迎えられる開催権獲得へ大きく前進している。
Text by Hiroyuki Ohashi / Photo by Tomoko Osawa
■自信をつけたアイシン三河との戦い
東芝は先のアイシン三河戦に臨む前の7試合は、2勝5敗と黒星が先行していた。上位チームとの対戦が多かったとは言え、苦しい状況だった。また、アイシン三河とは今季、3度の対戦で1勝2敗と負け越しており、平均得点77.7点、平均失点85.3点と守備で劣勢の状況だった。
そんな中で戦った4度目の対戦、3月26日の試合で82-78と勝利を飾ると、翌27日は82-81で接戦をモノにした。この2日間は過去3戦と比べて、平均得点で+4.3点(77.7点→82.0点、平均失点で-5.8点(85.3点→79.5点)と改善が見られた。
■思わぬ苦戦もディフェンスで踏ん張る
しかし、5連勝で来ていた4月13日の熊本ヴォルターズとの試合では、序盤から外角のシュートが決まらず、リバウンドでも後手に回ってしまう。重苦しい展開は後半になっても続き、相手の連続3Pや自らのミスも絡んで一時、36-44と8点を追う展開へ。
それでもダブルチームでプレッシャーをかけ、守備で踏ん張ると#22ニック・ファジーカスのインサイドで盛り返し逆転する。第4P残り1分で68-66と迫られた場面でも、#0藤井祐眞が3Pを決めて勝ちきった。
苦戦を強いられた東芝神奈川・北 卓也HCは、次のように試合を振り返っている。
「良い状態で来ていると思ったんですけど、やはり相手の順位もあって、いつものハードなディフェンスが見られなかったです。原点は『しっかりとプレッシャーをかけて、ディフェンスからチャンスがあれば走ろう』ということを言っているので、そこができなかったと思います。その理由としては、外からシュートが入らなかったことです。でもシュートが入らない日もあると思いますから、そういう日でもしっかりと勝ちきることが大事だと思います。
失点は70点だったので、ディフェンスは評価できると思います。あとはオフェンスですね。ニックが32得点であと(の選手)は1桁……辻はマークされていますから、他の日本人選手がもう少し点を取れるようにしていきたいと思います。また、今日はターンオーバーが15ですから、プレーオフに向けては減らしていかなければと思います」
反省点を口にしたが、その中でも取りこぼさず、勝利を手にしたことについては一定の評価を与えた。
上り調子のチームにとっては、良い薬となった試合であり、ディフェンスで我慢できたことは大きい。4月15日の2戦目も熊本を破って連勝を「7」に伸ばした。アイシン三河戦を境に比較した7試合での平均得点と平均失点は次の通りだ。得点が増加し、失点を70点代前半までに抑える結果となっている。
アイシン三河戦前7試合 平均得点69.9点 平均失点76.7点
アイシン三河戦後7試合 平均得点80.9点 平均失点72.0点(得点+11点 失点-4.7点)
また、アイシン三河戦前に負けた3ゲームと、平均リバウンド数を比較してみると下記の通り、やはり7連勝中は対戦相手を上回っている。4点差以内の試合も3試合あり、リバウンドが多く取れていることは、白星につながる要因ではないだろうか。
アイシン三河戦前 敗戦3試合 東芝32.4本 対戦相手35.6本
アイシン三河戦後 勝利7試合 東芝35.3本 対戦相手32.4本(東芝+2.9本 相手-3.2本)
■終盤戦に向けて“ひとつになる”東芝神奈川
さて、東芝神奈川のレギュラーシーズンはあと5試合。次節は2年連続でプレーオフ進出を決めた千葉ジェッツが相手となる。北HCは先の熊本戦に入る前、選手に対して、「油断をすると(チームで設定した目標の)3位は逃げていくよ」と、プレーオフに向けて気を引き締めている。
主将の#7篠山竜青とともにチームをまとめる#14辻 直人は「シーズンを通して、(チームは)今がまとまってきていると思います。個々が役割をわかってきて、それを(試合で)出せていることが、この結果につながっていると思います」と、大事な終盤戦に向けて、チームがひとつになっていることを感じている。主将とタイプは違うが、チームを牽引する男は「篠山選手は練習の時からすごい声を出して、チームを引っ張っていくタイプですが、僕はそういうタイプではないと思っています。プレーや試合中、何か気づくことがあれば声をかけてチームをまとめていきたいです。プレーオフは勢いが大事だと思うので、チーム全員でこの終盤の数試合で勢いをつけて臨めるよう意識していきたいと思います」と、意気込みを話してくれた。王座奪還を目指すチームは最後の舞台で輝くべく、着実な歩みを進めている。
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