昨年のbjリーグチャンピオンの琉球ゴールデンキングスとNBLチャンピオンの川崎ブレイブサンダースが初顔合わせした週末。Bリーグ開幕前までは、“どちらが本当に強いのか?”と一番興味深い試合であったはずだ。BリーグNo.1勝率の川崎に対し、西地区の下から2番目となる5位に甘んじる琉球ゆえに、王者対決の意味合いは薄れてしまったように感じる。レギュラーシーズン中、オーバーカンファレンスの戦いは2試合しかない。ライアン・スパングラー選手とエースの辻 直人選手を欠いた川崎にも歯が立たず、琉球は悔しさだけが残る試合となった。
初戦は55-79。24点差をつけられて敗れた後、琉球のエース岸本 隆一選手は、「ニック(ファジーカス)のところをしっかり止めに行こうという対策をしていましたが、いくら対策していても得点を獲ってくる選手だと試合を通して感じました。対策をしていてもやられてしまったことに、試合中にダメージを引きずってしまっていたのは良くなかったです」と話し、為す術がなかった。
「個人的にも、チームとしてもチャンスだと思っていましたし、今日の負けは本当に悔しいです。(仮に2戦目に勝って)1勝1敗になったとしても、初戦に勝ちたかったです」とも岸本選手は話している。川崎に一矢報いることで、琉球が巻き返すきっかけをつかみたかった。なんとしても初戦での勝利を欲していた。しかし、琉球の長所を全て消すディフェンスで流れをつかんだ川崎の方が準備は万全だった。初戦は「何も仕事ができずに試合が終わってしまった」と岸本選手も完敗を認めざるを得ない。翌2戦目は17点を挙げたが、チームを勝たせることはできなかった。
今シーズン、琉球の先発メンバーは対戦毎に変えている。全てにおいて先発を任されているのは喜多川 修平選手しかいない。
相手にアジャストするためか?
田代直希選手と渡辺竜之佑選手の若い2人が加入したことでチームとしてまだ固まらないのか?
伊佐 勉ヘッドコーチに伺った。
「どっちもあります。実際、喜多川選手のように安定している選手は使い続けたいですし、逆に言えば相手に対するマッチアップであったり、強みや弱みにアジャストしながらやっている部分もあります。そこまで変動していることをネガティブには捉えていません。スタメンというよりも、最初に出る5人であって、そこまで気にはしていないです」
常々、”2400秒(40分)”の中の1秒たりとも気を抜かない戦いを信条とする伊佐ヘッドコーチらしい。
だが、上位チームを見れば、ケガやオンザコートの状況にもよるが、先発メンバーはほぼ固定されている。強豪チームは、『相手どうこうではなく、まずは自分たちのバスケットをするだけ』という言葉もよく耳にする。琉球が優勝した昨シーズンも、2013-2014シーズンも先発メンバーは決まっていた。安定と強さは比例する。若手選手たちの成長を期待し、一日も早く安定させ、ファンの安心につなげたい。
エースながら、安定したプレータイムをもらえていない状況に対し、岸本選手は「完全に自分のせいです。結果を出すための場も与えられなかったのは、すごく突き刺さるぐらい悔しい」ともがいていた。
「でも、その気持ちで戦っていけば、後々、絶対に良いプレーにつながっていくと思っています」
琉球もチャンピオンのプライドがあり、負けっ放しでいるわけにはいられない。
高い壁にぶつかった琉球だが、テンポ良く軽やかに乗り越えられるポテンシャルは十分ある。アウェーで連敗しないこと。そして、多くのファンに支えられているホームでは必ず連勝すること。その積み重ねで浮上していくしかない。
2月18日-19日に中地区4位のサンロッカーズ渋谷を迎え、沖縄市体育館で行われる「Lady’s Day」で連勝し、女性たちを笑顔にするミッションが待っている。
文・泉 誠一 写真・安井麻実