最後のB3王者の称号を手にB.ONEに乗り込んだ立川ダイス。10月13日の東京ユナイテッドバスケットボールクラブ戦を終えた段階では1勝4敗とスロースタートになってしまったが、その後の2節・4試合は全てアリーナ立川立飛でのホームゲームとあって、出遅れを挽回するチャンスだった。
東京八王子ビートレインズとの多摩ダービーを2試合とも勝ちきると、続く岐阜スゥープス戦のGAME1は19点差をつける快勝で勝率5割に復帰。翌日のGAME2に今シーズン初の “貯金” がかかったが、第1クォーターで18-24と先行を許すと、前半こそ奥田雄伍の3ポイントで持ちこたえるものの、第3クォーター残り2分19秒には18点ものビハインドを背負ってしまう。

しかし、そこからの立川の反撃は見事だった。長尾光輝がターニングポイントに挙げたのは、18点差をつけられたところで野口侑真が見せたコーストトゥーコーストのレイアップ。「そこからチームが乗りだして、僕も意識をチェンジできた。陰のMVPは侑真」と長尾は称賛したが、その長尾自身も直後にスティールからワンマン速攻のレイアップを決めている。この日の長尾は4スティールを全て後半に記録し、そのうちの3本がワンマン速攻で自ら得点。残る1本も得点に結びついた上、試合を通じて16得点5アシストをマークした。ゲームMVPは残り14秒で決勝点を挙げたタッカー・ヘイモンドだったが、陸川章ヘッドコーチが「後半は光輝がディフェンスで奮闘して、それにみんなが追随して良いプレーができた」と評した長尾もMVPに値する働きだった。
「前半点差がついた中でも雄伍さんがつないでくれて、後半は雄伍さんのところのディフェンスがきつくなるだろうなと感じてたので、僕が頑張ろうと思いました。第3クォーターに僕が侑真と一緒に出たときは少し点差が離れた時間帯だったんですけど、リクさんが『ギアを上げて思いきりやってこい』と言ってくれたので、いつもはゲームコントロールを考えながら出るんですけど『もう何も考えずに一生懸命やろう』と」
陸川HCが「『ディフェンスとルーズボールが我々を勝利に導くよ』と言ってスタートした」と語るように、今シーズンの立川の重心はディフェンスに置かれている。12分強で18点差を追いつくにはポゼッションを増やす必要があり、ボールを奪って数秒で得点できる長尾のドリブルカットの技術とスピードが最も生かされる試合展開。ディフェンスが評価されてきた長尾の存在は、立川がチームのアイデンティティーを確立する上では欠かせないものだということがこの試合で証明された。

また、チームが調子を上げてきた要因の一つとして、陸川HCはセカンドユニットの躍動を挙げている。八王子戦からエドワード・モリスをスターターに固定し、いわゆるオンザコート3のラインアップを敷いているが、「練習でも5対5の攻防でブルーチーム(控え組)の日本人4人とジョーダン(・ブラウン)がすごく機能していて、切磋琢磨できてるのが試合にも出てると思います。これがチームの力です」と成果を実感。もちろん、そのブルーチームにはベンチスタートの長尾も含まれている。
なお、この日の長尾の出場時間は22分51秒で、スターターの司令塔を務める奥田より長く、第4クォーターに限れば10分間フル出場。岐阜の背中を捕え、いざ追い抜こうという局面で長尾の脚を動かしたのは、好プレーが出ると一気にボルテージが上がる立川のファンだった。











